家の不用品をフリマアプリに出したら、思ったより早く売れた。その延長で、仕入れて売ることもできるのでは、と考え始めた人もいるでしょう。
せどりは、安く買った商品をそれより高い値段で売り、その差を利益にする副業です。ネットで仕入れてネットで売る形なら、顔も声も出さずに、家の中で進められます。
ただ、要らない物を売るのと、売るために買うのとでは話が違います。最初の1個を買う前に、自分で答えておきたい問いが三つあります。売れたら手元にいくら残るか。中古品を扱ってよいか。最初に何を、どれだけ買うか。まずは、売れたら手元にいくら残るかを計算してみましょう。
仕入れる前に、売れたあとに残る金額を出す
せどりの利益は、売値から、仕入れ値と販売手数料と送料を引いた金額です。
売値 − 仕入れ値 − 手数料 − 送料 = 利益
たとえば、メルカリで2,000円で仕入れた商品を、販売手数料が15%のカテゴリーでAmazonに出して4,000円で売れたとします。手数料600円と送料500円が引かれ、残るのは900円です。小口出品なら、ここからさらに1点につき100円がかかります。4,000円で売れても、手元に残るのは売値の4分の1に届きません。
売り先ごとに残る金額を比べる
仕入れ値2,000円・売値4,000円・送料500円の商品をどこで売るかで比べると、手数料の差が、そのまま利益の差になります。
| 売り先 | 販売手数料 | 利益 | 利益率(利益÷売値) |
|---|---|---|---|
| メルカリ(10%) | 400円 | 1,100円 | 27.5% |
| ヤフオク(10%) | 400円 | 1,100円 | 27.5% |
| ラクマ(4.5〜10%) | 180〜400円 | 1,100〜1,320円 | 27.5〜33% |
| Amazon(15%の場合) | 600円 | 900円 | 22.5% |
Amazonでは販売手数料のほかに、小口出品なら1点につき100円、大口出品なら月額4,900円(税抜)がかかります。FBA(Amazonの倉庫に商品を預け、保管と発送を任せる仕組み)を使う場合は、FBA手数料も別にかかります。
4つの売り先の手数料のかかり方と向いている商品は、下の表のとおりです。
| 売り先 | 販売手数料の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| メルカリ | 一律10% | 知名度が高く売れやすいが、競合も多い |
| ヤフオク | 落札金額の10%(税込) | 希少品・限定品はオークション形式で高値が付きやすい |
| ラクマ | 4.5〜10%の変動制(販売実績が多いほど下がる) | 出品数が多い人ほど手数料を抑えやすい |
| Amazon(FBA利用) | カテゴリーごとに異なる(多くの場合5%〜15.4%)+FBA手数料 | 保管・発送・購入者への対応をまとめて任せられる分、費用がかかる |
手数料は変わることがあるので、出品する前に、各売り先の手数料のページを開いて確かめます。売り先に迷ったら、ふだんはメルカリ、数の少ない限定品はヤフオク、点数が増えてきたらAmazonのFBA、と分けて考えると決めやすくなります。
計算に慣れたら、仕入れの基準を自分で決めておきます。決めるのは、利益率と利益の金額の下限の2つです。下限に届かない商品は、安く見えても買いません。利益が大きくても、売れるまで時間がかかる商品は、そのあいだ払ったお金が在庫の形で止まります。どれくらいの間隔で売れているかも、同じ表で見ます。
計算の表を、AIに作ってもらう
商品ごとに電卓をたたくより、表計算ソフト(Googleスプレッドシートなど)に式を入れておけば、仕入れ値と売値を打ち込むだけで、残る金額が出ます。その式は、文章を作るAI(ChatGPTなど)に書いてもらえます。
指示文の例
Googleスプレッドシートで、せどりの利益を計算する表を作ります。A列に商品名、B列に仕入れ値、C列に売値、D列に販売手数料の率(%)、E列に送料、F列に1点ごとにかかる決まった料金(なければ0)を入れます。2行目に入れる形で、次の式を書いてください。
・G列:利益(売値 − 仕入れ値 − 売値×手数料の率 − 送料 − 決まった料金)
・H列:利益率(利益 ÷ 売値)
・I列:利益が〔自分で決めた金額〕円未満か、利益率が〔自分で決めた率〕%未満なら「見送り」、それ以外は空欄
それぞれの式が何を計算しているかを、1行ずつ説明してください。
AIが書いた式は、そのまま使いません。上の例の数字(仕入れ値2,000円、売値4,000円、手数料15%、送料500円、決まった料金0円)を入れて、利益が900円、利益率が22.5%と出るかを確かめてから使います。手数料の率はAIに尋ねず、売り先の手数料のページで確かめた数字を自分で入れます。
中古品を売るときの古物商許可
新品を仕入れて売るせどりそのものは、違法ではありません。気をつけたいのは中古品です。一般の人の手に一度渡った物(中古のゲーム、スマートフォン、本、DVDなど)は「古物」にあたり、仕入れて売るには古物商許可が要ります。許可なしで続けると、古物営業法により、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になり得ます。新品だけを扱うなら、許可は要りません。
古物商許可の申請
- 申請先: 営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課。ネットだけで売る場合も、営業所を1ヶ所以上置く必要があります
- 費用: 申請手数料19,000円
- 期間: 申請から交付まで40日前後が目安
- 書類の例: 許可申請書、略歴書、本籍が記載された住民票の写し、誓約書など(本人と営業所の管理者、それぞれの分)
- 自分のネットショップで売る場合: ドメインの取得を示す書類など、「URLの使用権原を疎明する資料」が別に要ることがあります
資格の試験はなく、書類がそろえば申請できます。ただ、手元に届くまで40日前後かかります。中古品も扱うつもりなら、利益の計算を練習しているうちに申請を出しておくと、待つ時間をむだにしません。先に新品だけで始めて、許可がおりてから中古品を足す順番でもかまいません。
仕入れようとしている物が古物にあたるか、許可が要るかで迷ったら、AIの答えで決めず、申請先の警察署に問い合わせて確かめます。
仕入れ方と、最初に選ぶ商品
仕入れ方は、ネットで探して買う「電脳せどり」と、店に足を運んで買う「店舗せどり」に分かれます。会社勤めのあいまに進めるなら、通勤や昼休みのすき間に探せる電脳せどりから入ると、続けやすくなります。
| 電脳せどり | 店舗せどり | |
|---|---|---|
| 仕入れ方法 | 通販サイト・フリマアプリなどをネットで調べて買う | 家電量販店・古本屋・アウトレットなどに行って買う |
| よい点 | 移動がなく、すき間の時間に調べられる。同じ商品をくり返し仕入れやすい | 実物を見て検品できる。ネットに出ていない掘り出し物に出会うこともある |
| 気になる点 | 値付けが高くなりやすい。写真だけで状態を判断する。仕入れにも送料がかかる | 交通費・ガソリン代と、店を回る時間がかかる |
電脳せどりでは、商品を手に取らずに買います。状態の見きわめが難しい商品ほど、写真だけで仕入れると外れやすくなります。実物を見て確かめたい商品だけ、近くの店で仕入れる組み合わせ方もあります。
ジャンルごとの向き不向き
最初の数回は、型番やタイトルで同じ商品の値段を探せるジャンルに絞ると、相場を外しにくくなります。
| ジャンル | 特徴 | 仕入れ先の例 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 家電 | 型番があり、相場を調べやすい | 家電量販店のクリアランス、中古家電を扱う通販サイト | 大型家電・家具は送料や搬出費で利益が残りにくい。小型で型番のある商品向き |
| 本・漫画 | 少ない資金で始めやすく、利益率も高め。専門書は仕入れが安く、売値が高い傾向 | 中古書店、フリマアプリ | 映像化された作品などはプレミア価格になりやすいが、相場の動きも速い |
| アパレル | 卸売サイトで卸の価格で仕入れられれば、利益率を高く保ちやすい | 卸売サイト、アウトレット | サイズと状態のばらつきが大きく、写真だけでは判断しにくい |
| ゲームソフト・おもちゃ | 売れるまでが早く、クリスマスなどの時期に価格が動きやすい | 家電量販店のクリアランス、中古販売店 | タイトルで相場は調べやすいが、人気のタイトルは競合も多い |
家電・ゲームソフト・本で計算と発送に慣れてから、状態の判断が難しいアパレルなどに広げると、外れの仕入れを減らせます。
価格の動きと売れ行きは、自分の目で確かめる
Amazonで売られている商品なら、Keepaで、値段がどう動いてきたか、どれくらいの間隔で売れているかを見られます。最初は、無料の範囲のKeepaと、売り先で同じ商品がいくらで売れたかを見るだけで足ります。
| ツール | できること | 使い始める時期の目安 |
|---|---|---|
| Keepa | Amazonの商品の価格の動きと売れ行きを確認する(利益計算の機能はない) | 最初から。無料の範囲で使える |
| プライスター | 利益を計算する。仕入れ価格と個数を反映できる | 月の売上が伸びてから |
| せどりすと | スマホのカメラでバーコードを読み、その場で利益を計算する | 店舗での仕入れもする場合 |
有料のツールは、始めから契約しなくてもかまいません。扱う点数が増え、仕入れの判断を速くしたくなってから検討しても間に合います。
この段階では、AIに頼らない作業があります。いまの値段と、どのくらい売れているかは、AIに尋ねても今日の相場が返ってくるとは限りません。Keepaのグラフと、売り先で売れた値段を、自分で開いて見ます。仕入れる商品の状態も、出品者の写真と説明文を自分で見比べて決めます。「売れそう」という感覚や、SNSや動画で紹介された「稼げる商品」も、そのまま信じずに、同じように自分で相場を調べて計算します。
最初は少ない資金で、仕入れから発送まで一回りする
はじめのうちは、利益を大きくすることより、仕入れから記録までを一度通して、どこで手間とお金がかかるかを知ることを目当てにします。

- リサーチ: 扱うジャンルを決め、Keepaや売り先で、仕入れ値と売値の差を調べる
- 仕入れ: 通販サイト・フリマアプリ・アウトレットなどで買う。値段が低く、売れるまでが早い商品から
- 出品: メルカリは売れやすさ、ヤフオクは希少品、Amazonは買う人の多さで、売り先を選ぶ
- 販売・発送: 売れたら梱包して送る。AmazonのFBAなら、保管・発送・購入者への対応まで任せられる
- 記録・振り返り: 仕入れ値・売値・手数料・送料・利益を書き残し、次の仕入れに使う
会社員が副業として進める場合、作業は1日2〜3時間・週2〜3日ほどが、当ブログの見立てによる目安です。内訳の例も、当ブログの見立てです。
- 出品・出品し直し: 1回30分ほど
- 梱包: 1回30分ほど
- リサーチ: 週1〜2回、2時間ほど
- 休みの日: 値段の調整、リサーチ、発送の準備、記録の整理
平日の夜はリサーチと出品、休みの日に梱包と記録、と分けると、本業のある日でも回しやすくなります。自分で発送するなら、在庫と梱包の資材を置く場所も用意しておきます。
最初の仕入れにかけるお金
仕入れの資金は、数千円〜3万円程度から始められます。払ったお金は、売れるまで在庫の形で手元に残るので、生活費とは分けた金額にします。下の表は、当ブログの見立てによる目安です。
| 仕入れの資金 | 位置づけ | 利益の目安 |
|---|---|---|
| 3万円程度 | 最初の一回り。利益の計算と発送の流れを覚える | 月に数千円〜1万円程度 |
| 10〜20万円程度 | 安定した利益を目指すときの規模 | 扱える点数とジャンルが増える |
中古品を扱うなら、古物商許可の申請手数料19,000円が、仕入れの資金とは別にかかります。
仕入れから発送までの流れを、本で通して読んでおきたい人には、次の入門書があります。
|
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売れたら、記録をもとに次に仕入れるものを決める
記録には、仕入れ値・売値・手数料・送料・利益に加えて、ジャンルと、仕入れた日・売れた日も書いておきます。何件か売れると、利益が残りやすいジャンルと、売れるまでに日数のかかる商品が見えてきます。次に仕入れる商品は、その記録から選びます。
利益が出ないときの大きな原因は、リサーチの精度が足りないことと、資金のやりくりの見込みが甘いことの2つとされています。思い当たる失敗があれば、下の表の右の列を試します。
| よくある失敗 | 見直すこと |
|---|---|
| 「売れそう」という感覚だけで仕入れる | 仕入れる前に、価格の動きと売れ行きを確認する |
| リサーチの量が足りない | 週1〜2回、リサーチの時間を先に確保する |
| 売れるまでが遅い商品に資金が偏る | 記録で売れるまでの日数を見て、早く売れる商品の割合を増やす |
| 1つの売り先だけで売っている | 手数料と売れやすさを比べて、ほかの売り先にも出す |
| 在庫が資金を圧迫している | 出品数を絞り、売れ残りの整理を先にする |
| カードの支払いが同じ時期に重なる | 締め日の違うカードを使い分けて、支払いの時期を分ける |
記録の集計を、AIに頼む
記録が数十件になると、ジャンルごとに見比べるのに手間がかかります。表をそのままAIに貼り、ジャンル別の集計を頼む方法があります。貼るのは自分でつけた記録だけにし、買った人の名前や住所は入れません。
指示文の例
下の表は、私のせどりの記録です。列は、商品名・ジャンル・仕入れた日・売れた日・仕入れ値・売値・手数料・送料・利益です。
ジャンルごとに、売れた数、利益の合計、利益率(利益÷売値)の平均、仕入れてから売れるまでの日数の平均を、表にしてください。売れた日が空欄の商品は「売れ残り」として別の表にし、仕入れた日から〔今日の日付〕までの日数が長い順に並べてください。表にない数字は足さず、推測もしないでください。
〔ここに記録の表を貼る〕
集計が合っているかは、ジャンルを1つ選んで利益の合計を自分で足し直して確かめます。次にどのジャンルを増やすか、売れ残りの値段を下げるか売り先を替えるかは、集計を見ながら自分で決めます。
続けた場合の利益の目安
※下の表は、当ブログの見立てによる目安です。
| 期間 | 月の利益の目安 | このころの様子 |
|---|---|---|
| 始めて〜2ヶ月目 | 0〜1万円程度 | 利益の計算に慣れず、仕入れの判断に時間がかかりやすい |
| 3〜4ヶ月目 | 1〜5万円程度 | 記録がたまり、利益の残りやすいジャンルが分かってくる |
| 続けて、仕入れの判断が速くなった場合 | 5〜10万円程度 | いくつかのジャンルを並行して扱えるようになる |
利益が出たら、税金の手続きも要ります。給与のほかの所得が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です(20万円以下でも、住民税の申告は必要です)。仕入れた商品の代金、梱包の資材と送料、リサーチツールの利用料、仕事に使った分の通信費などは、経費にできる場合があります。事業として続けるなら、帳簿などの要件を満たした青色申告で、最大65万円の特別控除を受けられます。
仕入れと売上を帳簿にまとめる会計ソフトは、次の記事で比べています。
まずは、上の指示文の例で計算の表を作り、気になる商品を3つ選んで、仕入れ値と売値を入れてみてください。「見送り」と出なかった商品があれば、そのKeepaのグラフを開くところから始められます。


