家族や友だちとのトークで、毎日のように押しているLINEスタンプ。あれを自分のキャラクターで作れたら、ちょっと楽しそうです。
LINEスタンプ販売の副業は、自分で作ったキャラクターのスタンプをLINEの公式の販売の場に出し、売れた分に応じて分配を受け取る仕事です。絵は手で描いても、画像を作るAIやデザインのツールで作ってもかまいません。
何から描き始めればいいのだろう、どんな言葉を入れればいいのだろう、審査は通るのだろうか、1セット売れたらいくら残るのだろう――作り始める前から、気になることはいくつも浮かびます。描く道具をそろえる前に、スタンプを売り出す場所を確認しておきましょう。
LINEスタンプは、LINE Creators Marketで売る
スタンプは、LINE Creators Market(LINEクリエイターズマーケット)で売ります。LINEのアカウントがあれば、職業や年齢、プロかアマチュアかを問わず、だれでもクリエイターとして参加できます。販売を始めたスタンプは、LINEアプリのスタンプショップと、Webの「LINE STORE」に並びます。
1つの商品(1セット)は、同じキャラクターで表情や言葉を変えた8〜40個のスタンプのまとまりです。景色や物だけの絵は会話で使いにくいとして認められず、小さく表示しても何を伝えたいかが分かることが求められます。依頼を受けて作る仕事ではないので、締め切りも相手とのやり取りもありませんが、売れるかどうかは出してみるまで分かりません。
作る場所は2つあります。パソコンでLINE Creators MarketのWebサイトから登録する方法と、スマホの無料の公式アプリ「LINEスタンプメーカー」で作って申請する方法です。スタンプメーカーは写真や動画からも作れ、切りぬきや文字入れもアプリの中でできます。どちらで作っても、送金先の口座の登録や販売の停止は、Webのマイページで行います。
まず同じキャラクターを3枚作って並べる
スタンプづくりでいちばんつまずきやすいのは、8個すべてを同じキャラクターに見せることです。8個そろえ始める前に、3枚だけ作って並べてみると、続けられそうかがすぐ分かります。
使う人と場面から、キャラクターを決める
「職場の人に送っても失礼にならない、ていねいな言葉のねこ」「家族とのやり取りで使う、ゆるい言葉の鳥」のように、使う人と場面まで決めておくと、あとで言葉を選びやすくなります。形は、頭が大きく体が短い2頭身ぐらいにします。LINEのガイドラインは、8頭身の全身のように小さくすると見えにくい絵を認めていません。
特徴を決めた文を作り、表情だけ入れ替える
AIは、同じ指示文でも毎回違う絵を出します。キャラクターの特徴を決めた文を先に作り、表情の部分だけを入れ替えて使うと、そろえやすくなります。ここでは、デザインのツールのCanvaにある画像を作るAI「ドリームラボ」(ホームの「もっと見る」から開く)を例にします。
指示文の例
LINEスタンプ用の、シンプルなキャラクターのイラスト。〔丸い顔の白いねこ。耳の先だけ灰色。青いスカーフ〕。頭が大きく体が短い、2頭身。太い黒の輪郭線、少ない色、白い背景。表情は〔笑顔で片手をあげる〕。文字は入れない。
文字はAIに描かせず、あとから入れます。AIの絵には読めない文字や崩れた文字が出ることがあり、LINEの審査ガイドラインはスタンプの中の文字の誤りを認めていないからです。3枚できたら、並べて見比べます。
| 見比べること | だめなときは |
|---|---|
| 顔・色・服装がそろっていて、同じキャラクターに見えるか | 特徴の文をもっと細かくして作り直す |
| 指の数や、手足の形が崩れていないか | 小さく表示しても崩れは目立つので、その1枚は使わない |
| 淡い色ばかりになっていないか | ガイドラインは淡色ばかりのスタンプをバランスを欠くものとしているので、輪郭や色を濃くする |
| 横370×縦320ピクセルに縮めてスマホで見ても、表情が分かるか | 顔を大きく、体を小さくする |
使える1枚が出るまでに何回作り直したかも、数えておきます。8個、16個と増やすときの手間の見当がつきます。キャラクターがなかなかそろわないときは、別の画像を作るAIで試すのも手です。AIごとの料金と、作った画像をスタンプとして売ってよいかの違いは、次の記事にまとめました。
8個の言葉を、ふだんのLINEから選ぶ
1セットの個数は、8・16・24・32・40個から選びます。審査に出したあとは個数を変えられないので、はじめの1セットは8個にすると、絵をそろえる手間が少なく、規格や審査の流れを一通り確かめられます。
言葉は、自分が1週間に送ったLINEを読み返して、何度も出てくるものから選びます。毎日のやり取りで使う言葉ほど、買った人がくり返し使ってくれます。季節の行事や、一部の人にしか通じない言葉は、2セット目以降に回します。
8個の言葉と表情の例(職場向けのていねいなキャラクターの場合)
1. おはようございます(笑顔で手をあげる)
2. ありがとうございます(深くおじぎ)
3. 了解です(敬礼、または丸のサイン)
4. おつかれさまです(〔お茶を差し出す〕)
5. すみません(両手を合わせる)
6. よろしくお願いします(おじぎ)
7. 少しお待ちください(〔時計を持つ〕)
8. おやすみなさい(〔ふとんに入る〕)
〔 〕は、決めたキャラクターと場面に合わせて替えます。LINEには「タグ設定」という機能があり、スタンプに「おはよう」などのタグを付けると、トークでその言葉を入力したときに候補として出るようになります(1つのスタンプに9個まで)。よく使われる言葉を選んでおくと、タグも付けやすくなります。
言葉の候補が出てこないときは、文章を作るAIに多めに出させて、そこから選ぶ方法があります。
指示文の例
LINEスタンプに入れる言葉の候補を、30個出してください。使う人は〔30代の会社員〕、送る相手は〔職場の同僚と上司〕です。ていねいだけど堅すぎない言い方で、1つ10文字以内にしてください。季節の行事の言葉は入れないでください。
出てきた30個を、自分の1週間のLINEと見比べて、本当によく送っている言葉から8個選びます。AIの候補には、流行りのセリフや、ほかの作品の決めぜりふに似た言葉が混じることがあるので、そうした言葉は外します。審査の「権利」の決まりに触れるおそれがあるからです。
画像を、LINEの規格に合わせる
絵と言葉がそろったら、LINEの決まった大きさと形式に合わせます。1セットには、スタンプの画像のほかに、ショップに出る「メイン画像」と、トークの画面のスタンプの一覧に出る「トークルームタブ画像」が1つずつ要ります。
| 画像 | 個数 | 大きさ(ピクセル) |
|---|---|---|
| メイン画像 | 1個 | 横240×縦240 |
| スタンプ画像 | 8・16・24・32・40個から選ぶ | 最大で横370×縦320 |
| トークルームタブ画像 | 1個 | 横96×縦74 |
形式はPNGで、1個1MB以下(まとめてZIPファイルで上げるときは60MB以下)。大きさは偶数のピクセルにし(自動で縮小されるため)、解像度は72dpi以上、色の形式はRGBにします。画像の外枠と絵のあいだには、10ピクセルぐらいの余白をとります。
手間がかかるのは、背景を透過(すけて見える状態)にする作業です。白い背景のままでは出せませんが、AIで作った絵は、白や色つきの背景で出てくることがほとんどです。Canvaの背景を透過する機能は有料のCanvaプロの機能で、無料では1回だけ試せると、Canvaの公式の紹介ページに書かれています。スマホで作るなら、LINEスタンプメーカーの切りぬきの機能を使う方法もあります。
背景を透過したPNGで書き出したり、あとから文字を入れたりする作業は、絵を描くソフトでもできます。セルシスのCLIP STUDIO PAINTは、イラストや漫画を描くためのソフトで、パソコンでは無料で試せます。買い切りの版と、月や年で払うプランがあり、料金は公式サイトに載っています。
登録して、審査に出す
タイトルと説明文を入れる
Webのマイページで「新規登録」を押し、「スタンプ」を選ぶと、ショップに出す文字を入れる画面になります。全角の文字は2文字と数えるので、日本語だけで書くと、入れられる文字数は半分になります。
| 入れるもの | 決まり | 全角だけで書くと |
|---|---|---|
| スタンプタイトル | 40文字以内 | 20文字まで |
| クリエイター名 | 50文字以内 | 25文字まで |
| スタンプ説明文 | 160文字以内 | 80文字まで |
| コピーライト | 50文字以内 | 英数字のみ |
※公式のガイドラインによる。「全角だけで書くと」の列は、当ブログの計算です。絵文字は使えません。
コピーライトは、作品の権利がだれにあるかを示す欄で、英数字で書きます(たとえば「©〔クリエイター名のローマ字〕」)。説明文には、どんな場面で使えるスタンプかを書きます。「〇月〇日発売」のような告知や、URLは入れられません。文字を入れたら、画像をアップロードします。
審査をリクエストする
登録がすんだら「リクエスト」を押して審査を申し込みます。このとき「同意事項」を読んで、「同意します」にチェックを入れます。審査は、LINEスタンプメーカーのページによると約2日間(早くて数時間。2024年時点の記載)です。
審査中は、文字も画像も直せません。承認されたあとも、画像は変えられません。誤字や絵の崩れがないかは、リクエストの前に見直します。通らなかったときは、マイページの「メッセージセンター」で理由を見て、直してからもう一度リクエストします(理由はくわしく書かれていないことがあります)。
承認されたら「リリース」を押す
はじめの設定では、承認されても自動では売り出されません。マイページの「アイテム管理」から、そのスタンプの「リリース」を押すと販売が始まり、ショップに出るまで1時間から数時間かかることがあります。
自分のスタンプでも、使うには買う必要があります。LINEスタンプメーカーでは、申請のときに「売上分配設定」を選びます。分配額なしにすると本人は無料でダウンロードできますが、売れても分配はありません。売る目的なら「有料ダウンロード/売上分配額あり」を選び、自分も買って使います。
価格を決める前に、1セットで残る額を知る
動かないスタンプの販売価格は、190円〜(70コイン)、250円〜(100コイン)、320円〜、350円〜、370円〜(150コイン)、490円〜(200コイン)、610円〜(250コイン)の7つから選びます。いちばん安い価格は、改定で120円〜から190円〜に上がりました。販売の前ならいつでも変えられ、販売中でも、いったん販売を止めれば変えられます。最新の価格はLINE STOREなどで確かめるよう、公式ヘルプに書かれています。
LINEコインは、LINEの中で使うお金の代わりのものです。スタンプがコインで買われると、LINEが決めた換算レートで円に直したものが「売上総額」になり、そこからアプリのストアなどに払う手数料を引いた残りの50%が、クリエイターへの分配額です。
分配額=(売上総額−手数料)×50%
- 日本で2024年12月1日以降にコインで買われた分は、1コイン=2.13円で円に直す
- 手数料は、Google PlayとLINE STOREが売上総額の30%。App Storeは、2026年1月1日以降に日本で買われた分が26%

| 販売価格(コイン) | 売上総額 | 分配額(手数料30%) | 分配額(App Store 26%) | 口座に1万円入るのに要るセット数(手数料30%) |
|---|---|---|---|---|
| 190円〜(70) | 149.1円 | 約52円 | 約55円 | 224セット |
| 250円〜(100) | 213円 | 約75円 | 約79円 | 157セット |
| 370円〜(150) | 319.5円 | 約112円 | 約118円 | 105セット |
| 490円〜(200) | 426円 | 約149円 | 約158円 | 79セット |
| 610円〜(250) | 532.5円 | 約186円 | 約197円 | 63セット |
※当ブログの計算です。公式の式と換算レートを使った目安で、実際の分配額は買われた場所や地域によって変わります。確定した金額は、毎月マイページで知らされます。セット数は、下で説明する源泉所得税と振込手数料を引いて口座に1万円残る場合で、売れる数の目安ではありません。
190円〜で売ると、1セットで残るのは50円ほどです。そのかわり、買う人には気軽な価格です。610円〜なら1セットで186円ほど残りますが、高い価格で同じ数が売れるとは限りません。はじめの1セットは、価格より「何人に買ってもらえるか」を見るために出すと考え、売れ方を見てから価格を変える、という順番にします。
口座に入るまでに引かれるもの
分配額は毎月末で締めて、翌月の中旬ごろに確定します。分配額の合計が1,000円を超えたら自分で「送金申請」ができ、申請した日から90日以内に口座に振り込まれます。申請しないあいだは、分配額がたまっていきます。振り込みのときには、源泉所得税(日本に住む個人は、分配額の10.21%。100万円以下の場合)と、振込手数料(銀行振込で495円)が引かれます。
| 申請するときの分配額 | 源泉所得税 | 振込手数料 | 口座に入る額 |
|---|---|---|---|
| 約1,044円(190円〜を20セット) | 約107円 | 495円 | 約442円 |
| 5,000円 | 約510円 | 495円 | 約3,995円 |
| 10,000円 | 1,021円 | 495円 | 8,484円 |
| 30,000円 | 3,063円 | 495円 | 26,442円 |
※当ブログの計算です。源泉所得税は、引かれる前の分配額にかかります。
1,000円を超えてすぐに申請すると、分配額の半分ほどが手数料と税金で減ります。振込手数料は金額にかかわらず495円なので、申請はある程度たまってからにします。
送金を受けるには、Webのマイページで送金先の口座を登録し、マイナンバーを出しておく必要があります。マイナンバーは確認と反映までに1週間ほどかかる場合があるので、はじめて売れた月のうちに済ませておきます。
源泉所得税が引かれていても、確定申告がいらなくなるわけではありません。会社員の副業なら、所得(収入から経費を引いた金額)が年20万円を超えた年は確定申告が要り、そのとき引かれた源泉所得税も記入して精算します。画像を作るAIの利用料は経費として記録できるので、振り込みのたびに、分配額・引かれた税金・かかったお金を控えておきます。源泉所得税の記録も含めて申告の準備ができる会計ソフトは、次の記事で比べています。
審査で落ちない絵にする
AIで作ったスタンプには、「AI生成」と表示されることがある
LINE Creators Marketの規約(2026年7月1日更新)には、クリエイターの申告に基づく場合や、LINEがAIで作ったもの、またはその可能性があると判断した場合に、AIで作ったコンテンツである旨を表示する、と書かれています。審査のガイドラインには、AIで作ったことだけを理由にした項目はありません。申告の欄が出たら、正直に答えます。
審査のガイドラインで認められないものは、画像・文字・モラル・ビジネス・権利に分けて書かれています。
| 分け方 | 主な例 |
|---|---|
| 画像 | 会話に向かない、小さいと見えにくい、ロゴだけ・文字だけ、文字の誤り、すでに売られているスタンプの複製 |
| 文字 | 「〇〇と検索」のような告知、URL、ハートなどの絵文字 |
| モラル | 政治や選挙、性的な表現、暴力、個人情報、だれかへの中傷 |
| ビジネス | 会社やサービスの宣伝、ほかのメッセージアプリの名前 |
| 権利 | 他人のキャラクターや作品の権利の侵害、二次創作、許可のない人の顔や似顔絵 |
AIで作るときに特に気をつけたいのが、権利の項目です。アニメや漫画、ゲームのキャラクターに似た絵や、有名な作家の名前をあげて「〇〇風」にした絵は、指示文の段階で避けます。写真を使ったスタンプも作れますが、タレントやキャラクター、ロゴなどが写っている場合は権利者の許可を示す書類が、人の顔が写る場合はその人の許可が要ります。
ガイドラインの権利の項目には、「素材がサードパーティの利用条件に違反するもの」も入っています。使ったAIやツールの規約で、作った絵を売ってよいかを確かめておく、ということです。Canvaの場合は、次のように分かれます。
| 使い方 | Canvaの規約での扱い |
|---|---|
| 自分の指示文でドリームラボなどのAIに作らせた絵 | 出力は作った人のもの。法律に反しない目的なら使える(使う人の責任) |
| Canvaのライブラリの素材(イラスト・写真・グラフィック)を、AIで直したもの・組み込んだもの | 作った人のものにはならない。使用許諾(ライセンス)の範囲で使う |
| ライブラリの素材を、スマホでダウンロード・配布される電子的な形で使う | 使用許諾の契約が禁じている |
| AIの絵を、手で描いたように見せる | 禁止 |
※出典はCanvaの「AI Product Terms」(2026年6月26日発効)と「コンテンツ使用許諾契約」。売り物に使う前に専門家に相談するよう、Canva自身がすすめています。
LINEスタンプは、買った人のスマホにダウンロードされて使われるものです。スタンプの絵には、Canvaのライブラリのイラストやグラフィックを使わず、自分の指示文で作った絵か、自分で描いた絵を使います。文字に使うフォントの扱いも、使う前に使用許諾の契約で確かめます。
2セット目からは、同じキャラクターで場面を変える
1つのアカウントで出せるセット数に上限はありません。1セット目を気に入った人は、同じキャラクターの別のセットも手に取りやすいので、季節の行事、返事のバリエーション、家族向けの言葉など、使われる場面の違うセットを増やしていきます。販売を始めてから180日がたつと、使い放題のサービス「LINEスタンプ プレミアム」に参加でき(はじめは「参加する」の設定)、こちらは買われた数ではなく、使われた割合で分配が決まります。
ふだんどんな言葉を送るかを考えるのが好きな人、同じキャラクターの絵を何枚も見比べてそろえる作業が苦にならない人にとっては、セットを重ねるほど楽しくなる仕事です。1セットで残る額は小さいので、すぐにまとまった収入がほしい人には向きません。
友だちや家族向けに作るなら、「プライベート設定」で、新着やランキング、検索に出ないようにできます。ただし購入ページのURLを知っている人はだれでも買えますし、作ったスタンプを買わずに配ることはできません。
AIで作った画像は、スタンプのほかに、素材やイラストとして売る方法もあります。どんな売り方があるかは、次の記事で説明しています。
キャラクターをそろえる指示文の書き方など、画像を作るAIの使い方を体系立てて学びたくなったら、生成AIの講座を使う方法もあります。
キャラクターの特徴を1文にまとめたら、表情違いを3枚作って並べてみてください。同じキャラクターに見えたら、8個の言葉選びに進めます。




