「AIで稼げる」という広告はよく見かけるのに、実際に何をする仕事なのかは、あまり書かれていません。
AI副業は、ChatGPTなどの生成AIを道具にして、文章や画像、動画を作り、報酬を受け取る仕事です。家のパソコンで進め、顔も声も出しません。
AIの言葉が入った募集に何が並んでいるか。未経験の人はどれに応募できるか。AIはどこまで使ってよいか。そして1件でいくらになるか。始める前に引っかかるのは、たいていこの四つです。実際に出ている募集の数字から、ひもといていきます。
AI副業で募集されている仕事の内訳
AI副業と呼ばれている仕事は、AIを「使う」仕事と、AIを「扱う」仕事の2種類に分けられます。
| 種類 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| AIを道具に使う仕事 | 記事、画像、動画など、前からある仕事。下書きや素材づくりの段階でAIを使う | 記事の作成、SNSの画像づくり、ショート動画の編集 |
| AIそのものを扱う仕事 | AIを組みこんだ仕組みを作る、AIの使い方を教える | 問い合わせ対応の自動化、社内向けのAI研修の講師 |
どちらがどれだけ募集されているかを、当ブログで2026年10月に数えました。クラウドワークスの「仕事を探す」で「AI」と検索すると、募集中の仕事は1,936件出てきます。このうち、題名に「AI」「生成」「ChatGPT」などの言葉が入る492件を、題名から仕事の中身ごとに分けた結果が下の図です。

いちばん多い文章を書く仕事の128件は、全体の26.0%です。図にない残りは、「AIを使わないこと」が条件の募集が7件、題名だけでは仕事の中身が分からない募集が29件でした。
※2026年10月、当ブログ調べ。ある日に募集中だった仕事を数えたもので、時期によって増えたり減ったりします。題名の言葉で分けたため、実際の中身と区分がずれている募集もあります。
文章・動画・画像の3つを足すと263件で、全体の53.5%になります(2026年10月、当ブログ調べ)。AI副業の募集の中心は、AIを使って記事や動画や画像を作る仕事で、プログラムを書く仕事ではありません。文章の128件のうち63件は、題名に「AI活用OK」「AI使用可」のように、AIを使ってよいことをはっきり書いていました。
反対に、「AIを使わないこと」を条件にした募集も7件ありました(2026年10月、当ブログ調べ)。そのうち5件は、イラストや商品の画像の募集です。同じ「AI副業」の検索で出てくる仕事でも、AIの扱いは発注者によって正反対になることがあります。
未経験の人に向けた募集が多い仕事
同じ492件で、題名か冒頭の文に「未経験」「初心者」「初めて」「経験不問」が入る募集を、仕事の中身ごとに数えました(2026年10月)。
| 仕事の中身 | 件数 | 未経験・初心者向けの言葉が入る募集 | 応募した人の数(中央値) |
|---|---|---|---|
| 文章を書く | 128件 | 83件(65%) | 5人 |
| 画像・デザイン | 54件 | 15件(28%) | 3.5人 |
| 動画を作る・編集する | 81件 | 13件(16%) | 3人 |
| 開発・自動化 | 87件 | 3件(3%) | 1人 |
※2026年10月、当ブログ調べ。応募した人の数は、数えた時点のものです。中央値は、募集ごとの応募人数を小さい順に並べて、真ん中にくる値です。
文章の募集は、3件に2件ほど(2026年10月、当ブログ調べ)が未経験の人も対象にしていました。画像と動画は、経験やソフトの扱いを前提にした募集が多くなります。開発・自動化は、1件あたりに応募している人が少ないものの、未経験の人を対象にした募集は87件のうち3件だけでした。
経験のない人が最初の1件を探すなら、文章の仕事がいちばん選びやすい、ということになります。画像や動画をすでに趣味で作っている人は、その方向から入っても構いません。
AIを使える範囲と、その確かめ方
クラウドワークスは「AI活用に関するポリシー」を出していて、AIを使って仕事をすることそのものは禁じていません。使えるかどうかを決めるのは、仕事ごとの発注者です。受ける側には、発注者の指定に従うこと、使い方を隠さないこと、預かった情報の扱い、品質の4点が求められています。
- 募集の詳細や、やり取りのメッセージに可否が書かれていれば、それに従う
- 可否がはっきりしないときは、作業の前に発注者に確認する。使ったことを、わざと伏せない
- 発注者から受け取った資料など、外に出せない情報をAIのツールに入れるときは、扱いに注意する
- AIを使ったかどうかに関係なく、取り決めた品質は満たす
発注者の側にも、きちんとした説明のないまま、AIを使ったことだけを理由に報酬を下げたり、納品を受け取らなかったりしないよう求めています。先に相談して決めておけば、あとで揉めにくい仕組みです。
AIに任せる部分と、人が受け持つ部分
AIを使ってよい募集でも、AIの出したものをそのまま納めることはできません。文章の仕事で分けると、次のようになります。
| AIに任せやすい部分 | 人が受け持つ部分 |
|---|---|
| 見出しの案を出す | 発注者の決まり(文体、字数、書いてはいけないこと)に合わせる |
| 下書きを書く | 自分の体験や、調べて確かめた事実を足す |
| 言い回しを整える | 数字、名前、制度の説明が正しいかを確かめる |
| 誤字を探す | 読み直して、納めるものに責任を持つ |
2026年10月に数えた募集のうち13件は、題名に「体験談」「実体験」のように「体験」という言葉を入れていました。AIには書けない自分の体験と、事実の確かめが、わざわざ人に頼む理由になっています。
募集文の条件は、AIに書き出させてから自分で読む
AIの扱い、字数、金額、締め切りは、募集文のあちこちに散らばって書かれていることがよくあります。公開されている募集文なら、AIに貼って条件を表にまとめてもらうと、読み落としに気づきやすくなります。
指示文の例
次は、クラウドソーシングに出ている記事作成の募集文です。応募する前に確かめるため、次の5つを抜き出して表にしてください。(1)AIを使ってよいかについて書かれていること(2)1本の字数(3)1本の金額(4)締め切りと本数(5)書かれていないので、応募のときに聞いたほうがよいこと。募集文に書かれていないことは推測で埋めず、「記載なし」と書いてください。
募集文:〔ここに募集文を貼る〕
表ができたら、元の募集文と見比べて、抜き出しに間違いがないかを自分の目で確かめます。応募するかどうかを決めるのも、自分です。AIは「記載なし」の項目を見つけるまでを手伝う役で、受けるかどうかの判断は任せません。応募のあとに発注者から届くマニュアルや資料は、公開されていない情報なので、AIに貼ってよいかを先に聞きます。
書かれていなければ、応募のときに聞く
AIの扱いが「記載なし」だったときは、応募のメッセージの中で、どこにAIを使うつもりかを具体的に書いて尋ねます。「AIを使ってもいいですか」とだけ聞くより、発注者が判断しやすくなります。
応募のメッセージに入れる一文の例
募集文にAIの使用についての記載がなかったため、確認させてください。見出しの案と下書きの段階で〔ChatGPT〕を使い、事実の確認と仕上げは自分で行う進め方を考えています。AIを使わない指定でしたら、使わずに書きます。
1記事の金額と、手取りを左右するもの
題名にAIの言葉が入る募集のうち、1記事あたりの金額が決まっている114件を、金額の帯ごとに数えました(2026年10月)。
| 1記事の金額 | 件数 |
|---|---|
| 1,000円未満 | 47件 |
| 1,000円〜1,999円 | 14件 |
| 2,000円〜2,999円 | 21件 |
| 3,000円〜4,999円 | 11件 |
| 5,000円以上 | 21件 |
※2026年10月、当ブログ調べ。中央値は1,200円。字数は募集ごとに違い、数百字のお試しの募集もふくみます。
1,000円未満の募集が4割ほどを占めています(2026年10月、当ブログ調べ)。ただ、そのうち33件は、字数の上限も1,000字に届かない短い募集でした。金額だけを見て安いと決めず、字数と並べて見てから応募先を選びます。
利用料を引いたあとに手元に残る額
クラウドワークスでは、受け取る報酬からシステム利用料が引かれます。1件10万円までの部分には20%がかかり、その利用料に消費税が加わるため、数千円の記事なら受け取れるのは報酬の78%です。これを作業にかかった時間で割ると、1時間あたりの金額が出ます。
| 1記事の金額 | 手取り | 1時間で終わる | 2時間かかる | 3時間かかる |
|---|---|---|---|---|
| 1,000円 | 780円 | 780円 | 390円 | 260円 |
| 2,000円 | 1,560円 | 1,560円 | 780円 | 520円 |
| 3,000円 | 2,340円 | 2,340円 | 1,170円 | 780円 |
※当ブログの計算です(手取り÷作業にかかった時間)。振込手数料はふくめていません。
同じ2,000円の記事でも、1時間で書き上げれば1時間あたり1,560円、3時間かかれば520円です。AIを使う意味は、ここにあります。見出しの案と下書きにかける時間を縮め、そのぶんを事実の確かめと直しに回せれば、金額が同じ仕事でも1時間あたりの手取りが上がります。
応募の前に、1本書いて時間を測る
上の表は、自分が1本に何時間かかるかが分かって、はじめて使えます。応募する前に、練習で1本書いて測っておきます。
| 手順 | すること |
|---|---|
| 1 | 仕事、趣味、住んでいる町など、自分がよく知っていることで、1,500字の記事の題を1つ決める |
| 2 | AIに見出しの案と下書きを出してもらう |
| 3 | 自分の体験を足し、事実を確かめ、読みやすく直す(ここはAIに任せない) |
| 4 | 題を決めてから書き終えるまでの時間を、合計で記録する |
1,500字に2時間かかったなら、2,000円の記事は手取り1,560円で、1時間あたり780円です。この数字を持っていれば、募集の金額を見た時点で、受けるかどうかを自分で決められます。書き上げた記事は、応募のときに見せる見本にも使えます。
仕事を受け始めたら、会社員の場合、副業の所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円を超えた年は確定申告をします。生成AIの有料プランの月額や、引かれたシステム利用料は、経費として記録できます。受け取った報酬と引かれた利用料は、月ごとに書き留めておきます。
確定申告に使える会計ソフトは、料金と機能を次の記事で比べています。
始めるのに要るものと、始める前に確かめること
始めるときに用意するのは、パソコンとインターネットの回線、生成AIのサービス、仕事を受ける場所の登録の3つです。クラウドワークスなどへの登録は無料です。
ChatGPTやClaudeなどの生成AIは、無料のプランでも使えます。練習で1本書いて時間を測るところまでは、無料の範囲で足ります。使える回数の上限で作業が止まるようになってから、有料のプランを考えれば間に合います。たとえばClaudeの個人向けのProは、月払いで月20ドル、年払いなら月17ドル相当です。
各サービスの1年間の料金と、入力した文章がAIの学習に使われるかどうかの違いは、次の記事で比べています。
AIの使い方は独学でも身につきますが、指示文の書き方を順番に教わりたい人には、オンラインのスクールもあります。DMM 生成AI CAMPの「学び放題」は月額16,280円(税込)で、入会金はかからず、月額のプランには最低契約期間の縛りがありません。生成AIのスクールの料金とコースの違いは、次の記事で比べています。
手元に置いて読める本なら、ChatGPTを仕事に使う方法を扱った次の1冊があります。
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ビジュアル 生成AIで爆速! ChatGPT仕事術 (日経文庫) [ 鈴木眞里子 ] 価格:1100円 |
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(PR)楽天ブックス
AI副業でつまずきやすいのは、先にお金を払わせる勧誘と、AIの出したものを確かめずに使うことです。
- 仕事を受ける前に、お金を求められていないか:「AIで必ず稼げる」とうたって、高い教材やツールを先に買わせる勧誘は、AI副業でも見られます。募集に応募して報酬を受け取る仕事なら、受ける前に支払うお金は、ふつうありません
- 使うAIの利用規約で、商用利用が認められているか:AIで作った文章や画像でも、ほかの人の作品に似ていれば、著作権の問題になることがあります。仕事で使ってよいかは、サービスごとの利用規約で確かめます
- AIの出した数字や名前を、そのまま信じていないか:AIは、事実と違うことを、もっともらしく書くことがあります。数字、名前、制度は、公式のページで確かめてから納めます
- 勤め先が副業を認めているか:会社員の場合は、始める前に就業規則を確かめます
入る方向を1つ決めて、その仕事の記事へ進む
AI副業は、方向によって、する作業も、仕事を受ける場所も違います。ここまでの数字と、自分がすでにできることを見比べて、方向を1つに決めます。決めたら、その仕事の記事で、募集の中身と金額をもう一段くわしく確かめます。
文章を書く
募集がいちばん多く、未経験の人に向けた募集も多い方向です。Webライティングの仕事の中身、文字単価、AIの扱いは、次の記事で説明しています。
AIを使った文章の仕事を、教材に沿って学びたい場合は、オンラインスクールもあります。たとえばデイトラのAIライティングコースでは、文章の基礎や、SEO記事・LP・取材といったジャンル別の書き方を扱っていて、教材は期限なく見られ、1年間はメンターに質問できます。AIライティングコースの内容と料金は、デイトラの公式サイトで確かめられます。
動画を作る・編集する
ショート動画の編集や、AIで作った画像と音声を組み合わせる動画づくりの募集があります。動画編集の仕事の種類と、1本あたりの手取りは、次の記事で説明しています。
画像を作る
SNSの投稿や、動画に使う画像を作る募集があります。先に見たとおり、イラストの募集にはAIを使わないことが条件のものもまじります。AIで作った画像を素材として売る方法と、販売先ごとの決まりは、次の記事で説明しています。
自分で出品して売る
募集に応募するのではなく、「AIを使った記事の作成」「AIの使い方の相談」などを、自分のサービスとして出品して売る形もあります。プロンプト(AIへの指示文)を売りたい人も、こちらに入ります。クラウドワークスの492件のうち、題名に「プロンプト」が入る募集は2件だけ(2026年10月、当ブログ調べ)で、どちらも指示文を作る・直す仕事でした。
スキルを出品できるココナラには「生成AI活用・開発・制作」というカテゴリがあり、当ブログが2026年10月に数えた日には約8,300件が出品されていました。ランキング上位60件の評価の件数は、中央値が6.5件で、ほかのカテゴリより少なめでした。
スキル販売で売られているものと、手数料を引いた手取りは、次の記事で説明しています。
仕組みを作る(開発・自動化)
AIを組みこんだ仕組みを作る仕事は、87件のうち、固定報酬で予算の上限が書かれていた47件の中央値が50万円でした(2026年10月、当ブログ調べ)。時間単価で払う募集も14件あります。金額は大きいものの、未経験の人に向けた募集は3件だけなので、プログラムや業務の知識がある人が選ぶ方向です。文章などの仕事でAIに慣れてから、次に進む先として考える人もいます。問い合わせ対応の仕組みづくりなど、この方向の仕事の中身と必要な知識は、次の記事で説明しています。
どの方向にするか決めかねるなら、文章の仕事で1,500字を1本書き、かかった時間を測るところから始めてみてください。










