会社で議事録を任されることが多く、まとめるのは苦にならない。AIが要約までしてくれるいま、これを家で請け負えたら、と思い描くことがあります。
議事録・要約代行は、会議やインタビューの録音から、決まったことと、誰が何をいつまでにするかが分かる文書を作る仕事です。パソコンがあれば家ででき、顔も声も出しません。
そもそも、議事録づくりを人に頼む募集は、どこに出ているのでしょう。AIの下書きがあるなかで人が受け持つ部分と、音声1本で手元に残る額も、確かめずには始められません。最初に向かうのは、クラウドソーシングの募集の一覧です。
議事録・要約作成の募集の中身
当ブログで2026年10月に、クラウドワークスの募集中の仕事を、「議事録」「要約」という言葉で探しました。重なりを除くと84件です。題名と冒頭の文を読んで中身で分けると、音声から要約まで作る募集は3件だけでした。

| 中身 | 件数 | 応募した人の数 |
|---|---|---|
| 音声から、文字起こしと要約・マニュアルまでを作る | 3件 | 99人・114人・175人(募集はどれも2人) |
| 秘書・アシスタント・事務の仕事の一部として、議事録や要約が入る | 19件 | 中央値は26人 |
| 紙やPDFの議事録などを、WordやExcelに打ち込む | 14件 | 中央値は40人 |
| 音声・動画の文字起こしだけ | 1件 | — |
| ほかの仕事(動画編集・講師・開発など、言葉が別の意味で出てくるもの) | 47件 | — |
※2026年10月、当ブログ調べ。ある1日に出ていた募集を数えたもので、日によって変わります。冒頭の文は、一覧に出ている部分だけを見ています。中央値は、少ない順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる数です。
音声から要約まで作る3件は、どれも文字起こしと組になった募集で、1件に100人前後が応募していました。いちばん多かったのは、会議に出て議事録をまとめる、資料を要約する、といった作業を含む秘書・アシスタントの募集です。
「議事録」と書いてあっても、紙やPDFで残っている過去の議事録を、WordやExcelに打ち込むだけの募集もありました。中身はデータ入力で、音声を聞いてまとめる仕事ではありません。応募する前に、募集文で何をするのかを読みます。
クラウドワークスの「テープ起こし・文字起こし」のカテゴリで、募集中の51件も分けてみました。
| 中身 | 件数 |
|---|---|
| 音声・動画を文字にするだけ | 19件 |
| 紙・PDF・印刷物を打ち込む | 14件 |
| 音声から、要約やマニュアルまで作る | 2件 |
| そのほか(このカテゴリに入っていた、電話をかける仕事の募集など) | 16件 |
※2026年10月、当ブログ調べ。上と同じ日に、題名と冒頭の文で分けました。
文字起こしの募集の中でも、要約まで頼むものは51件のうち2件でした。はじめから「要約だけ」の募集を待つより、文字起こしの仕事で実績を作り、「要約もできます」と伝えていくほうが、仕事につながりやすい形です。
文字起こしの仕事の全体(データ入力との違い、時給の目安)は、次の記事で説明しています。
AIの下書きを、渡せる議事録に仕上げる
いまは、録音から文字起こしと要約の下書きを自動で作るAIツールがあります。たとえばNottaは、無料のプランでも1回3分まで文字起こしができ、AIによる要約が月10回まで使えます。有料のプレミアムプランは、年払いで月あたり1,185円(税込)です。
ただ、AIの下書きをそのまま納めることはできません。下書きを仕事として渡せる文書にする部分が、人に残ります。
| AIに任せやすい作業 | 人がする作業 |
|---|---|
| 話した言葉を、文字にする | 人の名前、会社名、商品名、数字の聞き間違いを直す |
| 全体の要点を、短くまとめる | 決まったことと、まだ決まっていないことを分ける |
| 話題ごとに、見出しを付ける | 「誰が、何を、いつまでに」を、発言から拾って書く |
| 長い発言を、短い文にする | 発注者の決まった書式(社内の議事録の型)にそろえる |
仕上げは、AIで文字にする → 聞き直して名前と数字を直す → 議事録の形にまとめる、の順に進めます。文字起こしを直してから議事録の形にするのは、元の文字に間違いが残っていると、まとめた文にもそのまま入ってしまうからです。
議事録の形にまとめる段階でも、AIに下書きを作らせることができます。そのときは、文字起こしにないことを足さないよう、はっきり書いて頼みます。
指示文の例
次の文字起こしから、会議の議事録の下書きを作ってください。見出しは「話し合ったこと」「決まったこと」「まだ決まっていないこと」「誰が・何を・いつまでに」の4つにしてください。文字起こしに書かれていないことは足さないでください。名前と数字には、すべて〔要確認〕を付けてください。
文字起こし:〔ここに、直したあとの文字起こしを貼る〕
出てきた下書きは、〔要確認〕を付けた名前と数字を、録音を聞き直して1つずつ確かめます。AIの要約では、少数の意見や、「〜ならやる」という条件つきの発言が抜けることがあります。「決まったこと」に入っている項目は、本当に決まったのか、録音のその場面に戻って聞き直します。この確かめる作業が、お金をもらえる部分です。
確かめ終えたら、発注者の書式があればそれにそろえ、なければ、読む人が上から順に「何が決まり、自分は何をするのか」を拾える形にします。
仕上げた議事録の形の例
〔10月20日〕 〔商品企画〕定例会議(出席:〔山田、佐藤、鈴木〕)
決まったこと:〔新商品の発売日を12月1日にする〕
まだ決まっていないこと:〔価格。2,980円と3,480円の2案で、次回に決める〕
誰が・何を・いつまでに:〔佐藤〕が〔2案の原価の表〕を〔10月27日〕までに共有する
次回:〔10月27日 10時〕
「まだ決まっていないこと」を分けて書くのは、話に出ただけのことが、決まったことのように読まれないようにするためです。
録音をAIのツールに読み込ませてよいかは、発注者が決めます。クラウドワークスは、AIを使って仕事をすること自体は禁止しておらず、使うかどうかは発注者と受ける人の取り決めに任せる、としています。数えた募集の中にも、「AI補助OK」としたうえで「自分でのチェックは必須」と書いたものがありました。募集文に書かれていないときは、使ってよいか、どのツールならよいかを先に聞き、使ったことを隠しません。
文字起こしのAIツールの料金と、無料で使える範囲は、次の記事で比べています。
指示文の書き方や、AIの下書きの確かめ方を体系立てて学びたい人には、生成AIを仕事に活かすためのオンラインスクールもあります。コースの内容と料金は、公式サイトで確認してください。
公開されている動画で、自分の速さを測る
応募する前に、仕上げまで自分で1回やって、時間を測っておきます。1時間あたりいくらになるかは、この時間で決まるからです。
| 手順 | すること |
|---|---|
| 1 | 公開されている会見や講演の動画から、30分ほどのものを1本選ぶ |
| 2 | AIツールで、文字起こしの下書きを作る |
| 3 | 動画を聞き直して、名前と数字を直す |
| 4 | 上の指示文の例で議事録の下書きを作り、聞き直して確かめる |
| 5 | はじめから終わりまでにかかった時間を測る |
練習で作ったまとめは、自分の作業の見本にはなりますが、ほかの人の話なので、外には出しません。
60分の音声1本で、手元にいくら残るか
音声1分あたりの参考価格は、要約のほうが、文字起こしだけより高く書かれています。
| 出どころ | 中身 | 金額 |
|---|---|---|
| ランサーズ「仕事の種類・参考価格」 | 要約 | 190〜260円/音声1分 |
| 同じ | 素起こし・整文 | 150〜240円/音声1分 |
| 同じ | ケバ取り(「えー」「あの」などを取る) | 90〜200円/音声1分 |
| クラウドワークス「発注相場」 | テープ起こし・文字起こし(インタビュー60分の例) | 5,000円〜/件 |
※各公式サイトによる。クラウドワークスの発注相場には、議事録・要約を含む場合の金額は書かれていません。
| 受け方 | 報酬 | 引かれる手数料 | 手取り |
|---|---|---|---|
| ランサーズの参考価格で「要約」を受ける | 11,400〜15,600円 | 16.5%(税込) | 9,519〜13,026円 |
| クラウドワークスの発注相場(5,000円)で、文字起こしを受ける | 5,000円 | 20%+消費税 | 3,900円 |
※当ブログの計算です(参考価格×60分)。振込手数料は別にかかります。
同じ60分の音声でも、文字起こしだけで受けるか、要約まで受けるかで、手取りに2倍以上の差が出ます。ただし、要約は作業にかかる時間も増えます。練習で測った時間を2倍して60分ぶんの時間にし、手取りを割ります。
| 手取り | 3時間かかった | 5時間かかった | 8時間かかった |
|---|---|---|---|
| 3,900円 | 1,300円 | 780円 | 487円 |
| 9,519円 | 3,173円 | 1,903円 | 1,189円 |
| 13,026円 | 4,342円 | 2,605円 | 1,628円 |
※当ブログの計算です(手取り÷かかった時間。1時間あたりの金額)。何時間かかるかは、音声の聞き取りやすさ、話す人の数、自分の速さで大きく変わります。
30分の練習に2時間かかったなら、60分の音声には4時間ほどかかる見込みです。手取り9,519円の要約の仕事なら1時間あたり約2,380円、手取り3,900円の文字起こしの仕事なら975円になります。この差を見て、文字起こしから受けるか、要約まで受けるかを決めます。
報酬が入ったら、金額と引かれた手数料を控えておきます。会社員が副業をしている場合、副業の所得(収入から経費を引いた金額)が年20万円を超えると、確定申告が必要です。AIツールの月額の料金や手数料は、経費として記録できます。
記録と申告に使う会計ソフトの選び方は、次の記事で整理しています。
録音と議事録は、外に出さない
預かる録音には、社外に出せない話が入っている
- 秘密を守る約束(秘密保持契約)を求められたら、内容を読んでから結ぶ
- 録音や作った文書を、家族と共用のパソコンや、個人のクラウドに置いたままにしない。納めたら、決められたとおりに消す
- AIのツールに読み込ませてよいかは、発注者に先に確かめる
- 会議の内容を、SNSや自分の実績の紹介に書かない
会議に出て議事録を取る仕事では、録音の扱いも先に確かめます。オンライン会議の録音は、Microsoft Teamsでは記録を始めると参加者全員に通知され、Zoomでは参加者に録音の同意を求める表示が出ます(各公式ヘルプ)。録音してよいかを、発注者が参加者に伝えているかを聞いておきます。
対面の会議に出て録音する場面では、カード型のAIボイスレコーダーもあります。NottaのNotta Memoは、本体で録音した音声をNottaのアプリに送り、文字起こしや要約ができると、公式は説明しています。録音してよいか、録音をAIのツールに読み込ませてよいかは、ここまでと同じく発注者に確かめてから使います。
文字起こしの仕事から入り、「要約もできます」と足していく
議事録・要約の仕事は、文字起こしの仕事の1つとして募集されることがほとんどです。クラウドワークスに登録して、文字起こしの見本を作り、最初の1件を受けて報酬を受け取るまでの手順は、次の記事にまとめました。
文字起こしの仕事で実績ができたら、プロフィールに、要約・議事録も受けられることを書き足します。会社で会議の議事録を書いていた人は、その経験をそのまま書きます。「決まったこと」「宿題」「次回の予定」をどう並べると読みやすいかを、すでに知っているからです。
プロフィールに足す一文の例
〔会社員として、週1回の定例会議の議事録を3年〕担当してきました。文字起こしに加えて、決まったことと担当・期限を整理した議事録や、〔1,000字〕ほどの要約もお受けできます。AIツールを使うかどうかは、ご指示に合わせます。
〔 〕は、自分の経験に合わせて替えます。議事録を書いた経験がなければ、最初の一文を消し、練習で測った時間(「30分の音声の要約を2時間で仕上げられます」など)を書きます。
秘書・アシスタントの仕事の一部として、議事録や資料の要約を受ける道もあります。数えた募集では、要約まで頼む募集より、こちらのほうが多く出ていました。オンライン秘書の仕事の中身は、次の記事で説明しています。
まずは、公開されている会見や講演の動画を1本選び、AIの下書きから議事録を仕上げて、かかった時間を測ってみてください。






