SNSなら毎日見ているし、投稿もしている。それなら、店のアカウントを任されても回せるのでは?
SNS運用代行は、会社や店のSNSのアカウントを預かり、投稿づくりなどを代わりに引き受ける副業です。表に出るのは店の名前なので、顔も声も出しません。
迷うところは二つあります。店がどんな作業に値段をつけているのか、という点と、フォロワーの少ない個人でも任せてもらえるかどうか、という点です。募集に書かれた作業を、一つずつ分けて見ていきましょう。
SNS運用代行の単価の相場
「SNS運用代行は月20万〜50万円」という数字を見かけることがあります。これは、会社が代行会社に、戦略づくりや広告の運用まで頼むときの金額です。個人が副業で受ける仕事は、それとは別の価格帯から始まります。
| 任される範囲 | すること |
|---|---|
| 拡散の代行 | いいねやフォローで、アカウントを知ってもらう |
| 投稿づくり | 投稿の画像と文を作り、予約して公開する |
| 企画と報告まで | 月の投稿の企画、コメントへの対応、月ごとの報告 |
金額の目安は、2つのクラウドソーシングの公式の相場表に載っています。
| 相場表 | 項目 | 金額 |
|---|---|---|
| クラウドワークス「発注相場」 | SNS集客・運用 | 1時間1,200円〜 |
| ランサーズ「仕事の種類・参考価格」 | SNS運用代行 | 月5万〜30万円 |
ランサーズの月5万〜30万円は、企画と報告まで受け持つ仕事に近い金額です。拡散の代行や投稿づくりだけを受けるときの金額は、どちらの表にも項目がありません。クラウドワークスの相場表のように1時間あたりで決める契約なら、任される範囲が狭いほど作業の時間が短くなり、月の金額も小さくなります。
拡散の代行だけを続けていると、月の金額は小さいまま止まりやすくなります。金額が上がるのは、投稿を作る、数字を読んで次の手を出す、と任される範囲が広がったときです。未経験からいきなり企画と報告までの仕事を受けるのは難しく、拡散の代行や投稿づくりで評価をためてから移っていくのが現実的です。
募集に多い依頼の中身
当ブログで2026年10月に、クラウドワークスの公開の画面から「Instagram」「インスタ」を含む掲載中の募集を数えたところ、重なりを除いて1,819件ありました。題名に入っている言葉で見ると、投稿の画像やバナー、リール、フィードなど、投稿の制作を表す言葉が入った募集は678件、「運用」が入った募集は286件です。依頼した人が「SNS集客・運用」のカテゴリーを選んだ募集は、272件でした。
※2026年10月、当ブログ調べ。数えたのはInstagramに関わる募集だけで、ある1日に掲載されていたものです。題名の言葉で数えたので、1件に両方の言葉が入る募集もあり、分け方にはずれがあります。
アカウントをまるごと預ける依頼より、投稿の画像や動画を作ってほしいという依頼のほうが多いということです。未経験から始めるなら、最初の1件は投稿づくりの募集で探し、運用まで任されるのは、同じ相手から続けて頼まれるようになってからと考えておくと、応募先を選びやすくなります。
自分のアカウントで、投稿と数字の記録をためる
応募のときに見られるのは資格ではなく、「この人に任せたら、どんな投稿が出てくるか」です。それを見せる材料として、自分のアカウントで投稿を続け、数字を記録しておきます。

最初に覚えるのは、Instagram・X・TikTokそれぞれの見せ方の違いと、フォロワー数や、見た人のうち反応した人の割合(エンゲージメント率)の読み方です。基礎をひととおり覚えるまでの目安は2〜3か月で、平日に30分〜1時間ほどの時間があれば進められます。YouTubeの無料の動画でも学べます。
投稿は、テーマを1つに決めて、週3〜5回のペースで続けます。どのSNSから始めるかに決まりはありませんが、Instagramは初心者向けの募集が多いとされ、TikTokなどのショート動画は、動画の編集と組み合わせると受けられる仕事が広がります。テーマを、応募したい業種に近いもの(料理、住まい、仕事の道具など)にしておくと、応募のときに「御社の投稿に近いものを作れます」と見せやすくなります。
記録は、投稿した日、投稿の形(画像・リールなど)、保存された数、フォロワーの増減を、表計算ソフトに1行ずつ残します。数字は、各SNSのインサイト(アカウントの数字を見られる公式の機能)から、自分の手で写します。この表が、応募のときの実績になり、受けたあとで書く月ごとの報告の練習にもなります。
自分のアカウントそのもので、紹介した商品の報酬などの収入を得る方法もあります。その道は、次の記事で説明しています。
投稿づくりに使う道具
始めるときの道具は、無料のもので足ります。
| 用途 | 道具 | 目安 |
|---|---|---|
| 投稿の画像を作る | Canva | 無料プランで始められる |
| 動画を編集する | CapCut | 無料から使える。ショート動画も受けるとき |
| 投稿を予約する | Buffer | 無料プランで3チャンネル、1チャンネルにつき10件まで予約できる |
| 複数の相手のアカウントをまとめて管理する | Hootsuite | Standardプランで10アカウントまで。受け持つ数が増えてから |
| 数字を見る | 各SNSのインサイト | 無料 |
投稿の画像は、Canvaの無料プランで作り始められます。デザインの基本を教材で押さえておきたい場合は、デジタルハリウッドとCanvaが共同で作ったオンライン講座「Canvaデザインプログラム」もあります。入門のライト講座は動画を3か月見られる形で、その上のコースでは質問や課題の添削も受けられます。料金とコースごとの内容は、公式サイトに載っています。
投稿づくりで使う力は、企画、画像、動画、文章、数字の読み方です。最初から全部そろえる必要はなく、自分の投稿を作りながら1つずつ増やしていきます。企画は、同じ業種で目立っているアカウントを見て、何を投稿しているかを書き出すところから始めます。投稿の文は「結論→理由→具体例→結論」の順に組むと、短くても言いたいことが伝わります。運用まで任されると、月に20〜30本ほどの投稿のネタを出し続けることになるので、自分のアカウントで、その本数を考えられるかを試しておきます。
企画から投稿づくりまでを、教材に沿って身につけたい場合は、デイトラのインスタ運用代行のコースもあります。教材は期限なく見られ、メンターに質問できます。コースの中身と料金は、公式サイトに載っています。
応募では、自分のアカウントの数字を見せる
記録がたまったら、クラウドワークスかランサーズで「SNS運用」「投稿作成」などの言葉を入れて募集を探します。「初心者歓迎」「マニュアルあり」と書かれた募集から応募し、最初の数件は、金額より評価をもらうことを優先します。金額の小さい仕事でも、終わったあとに付く評価が、次の応募の材料になります。知り合いの店のSNSを手伝って、記録を作らせてもらう入り方もあります。
応募の文には、自分のアカウントの画面の画像と、「30日でフォロワーが200人増えた」のように、期間と数字をそろえた記録を入れます。「フォロワーが増えました」だけでは、何がどれだけ変わったのかが伝わりません。募集した店や会社の業種に合わせて、「〇〇のお店なら、こういう形の投稿を作れます」と一言添えると、ほかの応募と並んだときに目に留まりやすくなります。
応募先によって、受け取るときに引かれる手数料が違います。月1万円の仕事を1件受けたときに残る金額で並べると、こうなります。
| 応募先 | 仕事の受け方 | 手数料 | 契約金額1万円の手取り |
|---|---|---|---|
| クラウドワークス | 募集に応募する | 契約金額に応じて5〜20%(10万円以下の部分は20%)。別に消費税がかかる | 7,800円 |
| ランサーズ | 募集に応募する | 一律16.5%(税込) | 8,350円 |
| ココナラ | 自分で中身と価格を決めて出品する | 一律22%(税込) | 7,800円 |
※各社の公式の手数料をもとにした当ブログの計算です(契約金額は税込1万円)。クラウドワークスは、利用料にかかる消費税も引いています。口座に移すときは、クラウドワークスは振込手数料(楽天銀行100円、ほかの銀行500円)、ココナラは3,000円未満の振込申請に160円がかかります。
少額の契約なら、ランサーズに残る金額がいちばん多くなります。ただ、始めたばかりのころは、手数料の差より、自分に合う募集が出ているかのほうが大事です。クラウドワークスとランサーズの両方に無料で登録して募集を見比べ、続けて頼まれるようになったほうを主にします。契約金額が大きくなったときの手取りや、振込の条件まで比べるなら、次の記事が役に立ちます。
ココナラは、「Instagramの投稿画像5枚で〇〇円」のように、受ける仕事の形を自分で決めて出品する場所です。得意な投稿の形が決まってから足すと、出品の中身を考えやすくなります。依頼する人も出品する人も同じ無料の会員登録から始め、出品するときは、別に「出品者情報」を登録します。
「未経験歓迎」の募集で、先にお金を求められたら
クラウドワークスは、「未経験者歓迎」「実績作り」といった言葉で人を集め、LINEやZoomでのやり取りに移ってから、高額な講座や教材の購入を勧める例があるとして、利用者に注意を呼びかけています。SNS運用の募集でも、仕事の中身の説明より先に、講座の受講料や教材の代金を払う話になったら、応募も契約もせずにやめます。そうした募集は、募集のページの「この仕事を通報する」から運営に知らせることができます。
受ける前に、任される範囲と公開までの手順を決める
SNS運用代行で作った投稿は、自分ではなく、依頼した会社や店の名前で世に出ます。何かあったときに困らないよう、契約の前に、仕事の範囲と、公開するまでの手順をすり合わせておきます。
- どこまでが自分の仕事か: 投稿の企画と作成までか、コメントへの返事や、炎上したときの対応まで含むのかを決めます。含まない作業を書いておかないと、あとから思っていなかった対応を求められることがあります
- 公開までの手順: 投稿案を出す期限、相手が確認する期限、直しの回数、承認のしかたを先に決めます。承認は、チャットのように記録が残る方法で受け取ります
- 炎上したときの役割: 気づいて知らせるところまでか、最初の返事までか、謝罪の文を作るところまでかを分けておきます。受けている側が自分の判断で謝ったり反論したりしない、という約束も確かめておきます
- 作ったものの権利: 作った画像や動画の著作権が相手に移るのか、使ってよいという許しだけなのかで、自分の実績として見せてよいかが変わります
承認に回す前に、誤解されそうな言い方をAIに挙げさせる
投稿の文を相手の確認に回す前に、文章を作るAI(ChatGPTなど)に読ませて、読む人が誤解しそうなところを挙げてもらう使い方があります。AIには書き直させず、指摘だけを出させて、直すかどうかは自分で決めます。
指示文の例
次は、〔駅前のパン屋〕のInstagramに載せる予定の投稿文です。この店のお客さんが読んだとき、誤解されそうな言い方、言い切りすぎている言い方、人によっては不快に感じそうな言い方があれば、その部分を抜き出して、理由を1行ずつ添えてください。書き直した文は出さず、指摘だけにしてください。ここに書いていない店の事情は、推し量って足さないでください。
投稿文:〔ここに投稿文を貼る〕
指摘が出たところは、店の人に確かめてもらうか、言い方を控えめにします。値段や営業時間、材料のような事実は、AIの答えではなく、店から受け取った資料と照らして確かめます。
AIに任せないほうがよい作業もあります。コメントやメッセージへの返事は、相手の店の言葉づかいに合わせて、自分で書きます。炎上したときの謝罪や見解は、店が決めて出すもので、受けている側がAIで作って出すものではありません。お客さんの名前や、まだ公表していない新商品の話は、AIのツールに入れません。
AIを使って作業するなら、そのことも契約の前に伝えておきます。クラウドワークスの「AI活用に関するポリシー」では、AIを使った仕事そのものは禁止されておらず、使ってよいかは発注者と受ける側の取り決めに任されています。受ける側には、前もって相手に確かめること、使っていることを隠さないこと、約束した品質を守ること、預かった秘密の情報をAIのツールに入れるときは扱いに気をつけることが求められています。
受け持つ件数ごとの月の金額
1つのアカウントの金額は小さくても、受け持つ数が増えれば月の金額は積み上がります。副業に使える時間で受け持てるのは、2〜3アカウントほどが目安です。
| 受け持つ内容 | 計算 | 月の合計 |
|---|---|---|
| 1アカウントの投稿づくりに、月10時間 | 1,200円×10時間 | 12,000円 |
| 1アカウントの投稿づくりに、月20時間 | 1,200円×20時間 | 24,000円 |
| 2アカウントを受け持って、月30時間 | 1,200円×30時間 | 36,000円 |
※クラウドワークスの発注相場の下限(1時間1,200円)で計算した例です。かかる時間は、当ブログの見立てによる目安です。応募先の手数料を引く前の金額です。
かかる時間は、受け始めのころで週2〜3時間、受け持つ数が増えて単価の交渉を始めるころには週5〜10時間ほどを見ておきます。始めてからの金額の動きは、次のように考えています。
※下の表は、当ブログの見立てによる目安です。
| 時期 | 月の金額 | していること |
|---|---|---|
| 始めて〜3か月 | 0〜1万円程度 | 基礎を覚えて、自分のアカウントを育てる。受ける仕事はまだ少ない |
| 4〜6か月 | 1〜3万円程度 | 少額の仕事で評価をためて、単価の交渉を試し始める |
| 続けて頼まれる相手が増えてから | 3〜10万円程度 | 投稿づくりや、企画まで含む仕事が増えてくる |
始めて1〜2か月は、受け取った金額をかかった時間で割ると、かなり低くなることがあります。この時期は、応募に使える記録と評価をためる期間だと最初から決めておくと、途中でやめずに済みます。
会社員の副業なら、所得(売上から経費を引いた額)が年20万円を超えると確定申告が要ります。20万円以下でも、住民税の申告は必要です。Canvaの有料プランや投稿予約の道具の利用料、仕事で使う分の通信費は、経費にできる場合があるので、領収書と、引かれた手数料の記録を月ごとにまとめておきます。帳簿をつける会計ソフトは、次の記事で比べています。
投稿づくりから、数字の報告と提案へ広げる
単価が上がる分かれ目は、言われた投稿を作る人から、次に何をするかを出してくれる人へと、相手からの見られ方が変わるところです。実績が3〜5件たまったら、受け持つ範囲を少しずつ広げて、上の段の仕事を試します。
- 報告を付ける: 月ごとに数字をまとめ、反応のよかった投稿と、次の月に試すことを書いて渡します。投稿を作るだけの仕事は、単価が上がりにくいとされます
- 受け持つSNSを増やす: Instagramに加えて、XやLINE公式アカウントにも対応できると、「まとめて任せたい」と思われやすくなります
- 成果を期間と数字で言う: 「3か月で500人から3,000人に増えた」のように言えると、単価の交渉の根拠になります
- 作れるものを掛け合わせる: 画像、動画、文章を1人で作れると、投稿づくりをまとめて任されやすくなります
- 応募の文を相手ごとに変える: 同じ文を使い回さず、相手の業種とお客さんの層に合わせた一言を入れます
報告のやり取りでは、返事は24時間以内、進み具合の連絡は週1回ほどを目安にすると、続けて頼まれやすくなります。
記録の表から、月ごとの報告の下書きをAIに作らせる
報告は、数字を並べるだけでなく、「何が起きて、次に何をするか」まで書くと読んでもらえます。自分で写した記録の表をAIに渡すと、報告の形に組んだ下書きを作らせることができます。
指示文の例
次の表は、〔美容室〕のInstagramの〔9月〕の投稿ごとの数字です(投稿日、投稿の形、保存数、フォロワーの増減)。この表だけをもとに、店長に渡す月ごとの報告の下書きを書いてください。(1)前の月と比べて変わったこと、(2)数字のよかった投稿に共通する点、(3)来月試すことの候補を3つ、の順に、それぞれ3行以内でまとめてください。表にない数字や理由は書かないでください。
〔ここに表を貼る〕
下書きに出てきた数字は、表と1つずつ照らします。表にない理由が書き足されていることもあるので、「なぜよかったか」は、投稿したときの自分のねらいと合わせて書き直します。来月試すことは、候補の中から店の人と話して決めます。表を渡すときは、投稿の数字だけにしぼり、店の売上やお客さんの情報が入った資料は入れません。
実績ができてからの仕事の探し先
報告や企画まで受け持った実績ができたら、クラウドソーシングのほかに、副業や専門職向けのマッチングサービスも選べるようになります。
| サービス | 特徴 | 案件の傾向 |
|---|---|---|
| lotsful | 副業・複業向け。専任の担当者がつく | 公式サイトでは「週1回・4時間〜」「月10万円〜」の働き方が案内されている |
| Workship | デザイナー・マーケターなど専門職向け | 業務委託の案件が中心。稼働日数や報酬は案件ごとに公式サイトで確認 |
| HiPro Direct | パーソルキャリアが運営する、副業・フリーランス向けのマッチングサービス | マーケティング・人事・採用などの案件が中心。1回ごとのスポットコンサルと、プロジェクト型の案件がある |
どれも、実務の経験を見て選ばれるサービスです。始めたばかりのうちはクラウドワークスとランサーズで記録と評価をため、報告と提案まで受け持てるようになってから登録を考えます。まずは、自分のアカウントのテーマを1つ決めて、最初の投稿を作り、記録の表の1行目を書くところから始めてください。






