確定申告ソフトを探すと、freee・マネーフォワード・弥生の名前と一緒に、「65万円控除」「初年度0円」の文字が目に飛び込んできます。副業の申告が初めてだと、その言葉が自分に関係あるのかどうかも見分けがつきません。
2年目からは、毎年いくらかかる? 65万円控除は、会社員の副業でも受けられる? 有料の3社は、どこで違ってくる? 申告の準備を始めると、こんな問いが次々に浮かびます。
1年目の割引をいったん外し、2年目から毎年払う金額で並べ直します。
比較の前提
- 各社の公式サイトと国税庁の公開情報にもとづく比較です
- 記事内には、広告として掲載しているソフトがあります。順位はつけず、無料で足りる場合はそう書いています
- 税金の扱いは人によって変わります。判断に迷う点は、税務署や税理士に確認してください
確定申告ソフトの2年目からの年額
無料の手段2つと、有料のクラウド型ソフト3社のいちばん安いプランを、税込の年額にそろえました。
| 手段 | 2年目からの年額(税込) | 帳簿付け | 質問できる窓口 | 合いやすい申告 |
|---|---|---|---|---|
| 国税庁 確定申告書等作成コーナー | 0円 | 機能なし(集計は自分で行う) | 画面の案内とチャットボット | 雑所得で、取引が少ない |
| やよいの白色申告 オンライン(フリープラン) | 0円 | あり(白色申告用) | WebのFAQのみ | 事業所得の白色申告 |
| やよいの青色申告 オンライン(セルフプラン) | 12,980円(キャンペーンで1年目は0円) | あり(青色申告用) | WebのFAQのみ | 事業所得の青色申告 |
| マネーフォワード クラウド確定申告(パーソナルミニ) | 年払い11,880円/月払いなら16,896円 | あり(青色・白色) | メール・チャット | 青色・白色。消費税の申告は不可 |
| freee会計(スターター) | 年払い12,936円/月払いなら23,496円 | あり(青色・白色) | チャット・メール | 青色・白色。消費税の申告は不可 |
料金は2026年10月20日に各社の公式サイトで確認(税抜の表示に消費税10%を加えて計算)。月払いは、12ヶ月続けた場合の合計です。

年払いどうしなら、有料3社の差は11,880円から12,980円までの1,100円です。金額の差で決めるほどの開きはないので、選ぶときは料金より、質問の窓口と消費税の申告に対応しているかを見ます。
差が大きく開くのは、月払いを1年続けたときです。freee会計のスターターは、月払いの1,958円を12回払うと23,496円になり、年払いのおよそ1.8倍です。マネーフォワードのパーソナルミニも、月払いを続けると年払いより5,016円多くかかります。
無料で申告できる2つの手段の違い
国税庁の作成コーナーは、金額を入れると税額が自動で計算され、所得税の申告書のほか、青色申告決算書や収支内訳書も作れます。e-Taxでの送信まで無料です。そのかわり、日々の取引を記録する仕組みはないので、1年分の収入と経費は表計算ソフトやノートで自分で合計しておきます。
やよいの白色申告 オンラインのフリープランは、帳簿付けから申告書の作成、e-Taxでの提出まで、機能をすべて期間の制限なしで使えると案内されています。使えるのは白色申告だけで、操作を電話やチャットで聞きたいときは、有料のベーシックプラン(年12,650円)に切り替えます。
「65万円控除に対応」と、雑所得・事業所得の区分
副業の所得が雑所得か事業所得かで、青色申告を使えるかどうかと、作る書類が変わります。ソフトに要る機能も、ここで決まります。
| 区分 | 青色申告 | 申告で作る書類 | ソフトに要る機能 |
|---|---|---|---|
| 雑所得(業務に係るもの) | 使えない | 確定申告書に、収入と必要経費の合計を書く | 合計を出せれば足りる。作成コーナーで対応しやすい |
| 事業所得(白色申告) | 使わない | 確定申告書+収支内訳書 | 簡単な帳簿と、収支内訳書の作成 |
| 事業所得(青色申告) | 使う | 確定申告書+青色申告決算書 | 複式簿記の帳簿。ソフトがあると進めやすい |
国税庁のタックスアンサーでは、青色申告特別控除を受けられるのは、不動産所得か事業所得を生む事業を営む人とされています。複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を付けて期限内に出すと55万円、そのうえでe-Taxで送るか、帳簿を電子で保存すると65万円です。令和9年分からは、e-Taxで期限内に出す場合が65万円、さらに電子帳簿の保存などの要件を満たすと75万円になり、紙で出す場合の控除も変わると国税庁が案内しています。どの年分から何が変わるかは、申告する年の国税庁の手引きで確かめてください。
雑所得にはこの控除の仕組みがありません。ソフトの宣伝にある「65万円」の数字は、雑所得で申告する人の税額には影響しないということです。
雑所得か事業所得かを見分ける目安
国税庁の通達では、事業所得かどうかは、その活動が「社会通念上事業と称するに至る程度」かで判定するとしています。そのうえで、帳簿書類を残しているかが、分かりやすい目安として示されています。
| 帳簿書類 | 扱いの目安 |
|---|---|
| 取引を記録して保存している | 事業所得に区分される場合が多い |
| 保存していない | 原則は業務に係る雑所得(収入が300万円を超え、事業所得と認められる事実がある場合は除く) |
帳簿を付けたからといって、必ず事業所得になるわけではありません。規模や続け方によっては、帳簿があっても雑所得と判断されることがあり、決めかねるときは税務署に聞くのが確実です。青色申告を使う場合は、事前に税務署へ申請書を出しておきます。雑所得のままでも、前々年の副業の収入が300万円を超えた人は、請求書や領収書などの入出金の書類を残す決まりがあります。
3つの場面に当てはめた年額
| 場面 | 状況 | 合う手段 | 2年目からの年額(税込) |
|---|---|---|---|
| 場面1 | 会社員。Webライティングで月3万円ほどの収入があり、経費は少ない。帳簿はなく、雑所得で申告する | 国税庁の作成コーナー | 0円 |
| 場面2 | 副業を事業として続け、帳簿も付けている。申請書を出して青色申告にする | 有料3社のいちばん安いプラン(年払い) | 11,880円〜12,980円 |
| 場面3 | 場面2に加えて、インボイスの登録をしていて消費税の申告も要る | 消費税の申告に対応したプラン | 弥生12,980円/マネーフォワード16,896円/freee会計26,136円 |
場面1の人が有料ソフトを契約しても、ほとんどの機能は使わずに終わります。反対に場面2・3の人が作成コーナーだけで済ませようとすると、複式簿記の帳簿を別に用意することになり、手間が大きくなります。
副業そのものをまだ決めていない人向けの一覧は、次の記事で紹介しています。
有料の確定申告ソフト3社で違うところ
銀行やカードの明細を取り込む機能は3社とも持っていて、違いが出るのは、レシートを撮って読み込める枚数、消費税の申告、質問の窓口、試せる期間です。
| 項目 | やよいの青色申告 オンライン(セルフ) | マネーフォワード(パーソナルミニ) | freee会計(スターター) |
|---|---|---|---|
| 年払い(税込) | 12,980円 | 11,880円 | 12,936円 |
| 月払い(税込) | 年額のみの表示 | 1,408円 | 1,958円 |
| 銀行・カード明細の取り込み | あり | あり | あり |
| レシートの撮影 | スマホアプリあり(枚数の上限は料金ページで確認できず) | 月15件まで | 月5枚まで |
| 消費税の申告 | できる(機能は全プラン共通) | できない(パーソナル 年16,896円から) | できない(スタンダード 年26,136円から) |
| 問い合わせ | WebのFAQのみ | メール・チャット | チャット・メール |
| 試せる範囲 | キャンペーンで1年目0円 | 1ヶ月の無料トライアル | 30日間の無料お試し |
料金は2026年10月20日に各社の公式サイトで確認(税抜の表示に消費税10%を加えて計算)。
マネーフォワード クラウド確定申告のパーソナルミニ
マネーフォワード クラウド確定申告のパーソナルミニは、年払い11,880円で、メールとチャットで操作を聞けます。レシートの読み込みは月15件までで、それを超える月がある人は、パーソナル以上への切り替えが要ります。消費税の申告もパーソナルからです。比較サイトには値上げ前の金額が残っている場合があるため、金額は公式の料金ページで見てください。
freee会計のスタータープランの料金
freee会計のスターターは、申告書類の作成と明細の取得に加え、チャットとメールで質問できます。月払い1,958円に対して、年払いは月あたり1,078円です。レシートの撮影は月5枚までなので、紙の領収書が多い人は、撮影ではなく表計算でまとめてから入れる手もあります。消費税の申告はスタンダード以上で対応します。
やよいの青色申告 オンラインの3つのプラン
やよいの青色申告 オンラインのプランはセルフ・ベーシック・トータルで、料金ページには「機能はすべて同じ」とあります。セルフプランでも、消費税の申告書を作れると案内されています。違うのはサポートで、セルフはWebのFAQだけです。電話・メール・チャットで操作を聞くには、ベーシックプラン(年25,080円)を選びます。ベーシックの電話サポートは、契約期間中10回までです。
無料期間が終わったあとの扱い
「無料」の表示が同じでも、期間が終わったあとに何が起きるかは会社ごとに違います。申し込む前に、自動で有料に移るかどうかを見ておくと、思わぬ引き落としを防げます。
| ソフト | 無料の期間 | 申込みのときに要るもの | 期間が終わったあと |
|---|---|---|---|
| マネーフォワード | 1ヶ月(1事業者1回) | クレジットカードは不要 | 有料には自動で移らない。入力したデータは、有料に申し込めば引き継げる |
| freee会計 | 30日間 | メールアドレスのみ(カードは不要) | 有料に移るかどうかは、申込みの画面で確認 |
| やよいの青色申告 オンライン | 1年目が0円(キャンペーン) | 有料プランへの申込みと、自動更新の支払い方法(口座振替かクレジットカード)の登録 | 2年目から年12,980円で自動更新 |
各社の料金ページの記載にもとづく。キャンペーンの内容は予告なく変わることがあります。
弥生のキャンペーンは、2027年3月15日までの申込み分が対象で、1事業者につき1回だけです。白色申告 オンラインで同じキャンペーンを使った人や、一度解約してから申し込み直した人は対象になりません。1年目の0円は、2年目の自動更新を登録したうえでの0円だと考えておくと、更新の前に続けるかどうかを決めやすくなります。
マネーフォワードとfreee会計の月払いは、申告の時期だけ契約する使い方もできます。ただ、解約したあとに過去のデータを見られるか、翌年に引き継げるかは、各社の案内で確かめてから決めてください。口座の連携やレシートの読み込みが自分の環境でうまく動くかも、無料の期間のうちに試せます。
確定申告の準備でAIに任せられる作業
確定申告の準備のうち、AIが手伝いやすいのは、ばらばらの記録を表にそろえる作業です。ソフトの側にも、AIを使った機能があります。
- 弥生: 銀行やカードの取引データ、レシートの撮影データをAIが自動で仕訳すると、公式サイトで紹介されています
- マネーフォワード: レシートの読み込みにAI-OCR(画像から文字を読み取る仕組み)を使い、パーソナルミニでは月15件まで使えます。料金ページには、AIツールから会計データを確認・操作できるMCPサーバーの機能を、追加料金なしで使えるとも書かれています
- freee会計: レシートを撮るとAIが項目を分けて読み込む機能が、2027年1月にリリース予定と案内されています
ソフトを契約する前でも、手元の記録を対話型のAIに整えてもらうことはできます。口座番号やマイナンバー、取引先の個人名は伏せてから貼り付けてください。
指示文の例(1年分の入金と支払いを表にする)
下は副業の1年分の入金と支払いのメモです。日付・相手・金額・内容の4列の表にしてください。入金は取引先ごとの合計も出してください。支払いは、副業のための支払いと思われるもの、私用と思われるもの、どちらか分からないものの3つに印を付け、分からないものには、判断に要る情報を1行で書いてください。勘定科目は候補として書くだけにし、断定しないでください。〔ここにメモを貼る〕
指示文の例(税務署に聞くことを整理する)
私は会社員で、副業として〔仕事の内容〕をしています。収入は年〔金額〕円、帳簿は〔付けている/付けていない〕、続けて〔期間〕です。この副業の所得を雑所得と事業所得のどちらで申告するかを税務署に相談したいので、聞いておくべき質問と、持っていくとよい資料を箇条書きにしてください。どちらに当たるかの結論は書かないでください。
AIに任せないのは、所得の区分を決めること、自宅の家賃や通信費を副業にどれだけ割り当てるか、最終的な税額と控除の確認、e-Taxでの送信です。AIの答えは、根拠となる国税庁のページで確かめ直し、迷った点は税務署に聞いてから申告書に入れます。
2月16日の前にそろえておくもの
所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの所得を、翌年の2月16日から3月15日までに申告します。どのソフトを選んでも、手元に要るものは変わりません。
- 1年分の入金の記録と、経費の領収書・カードの明細: ソフトを使うなら、明細の取り込みを年が明ける前に設定しておくと、2月に慌てずに済みます
- 会社の源泉徴収票: 会社員は、給与と副業の所得を合わせて1枚の申告書にします
- e-Taxで送るための準備: マイナンバーカード、カードを読み取れるスマートフォン(パソコンから送るなら、そのスマートフォンかICカードリーダライタ)、デジタル庁の「マイナアプリ」、カードの2種類のパスワード(数字4桁と、英数字6〜16文字)
税務署で発行していたIDとパスワードで送る方法は、2025年10月1日から新しい発行が止まっています。e-Taxの案内では、この方法は令和9年分の確定申告から使えなくなる予定です。これから始める人はマイナンバーカードで送る前提で、パスワードを覚えているかを早めに確かめておくと安心です。紙に印刷して、税務署へ郵送などで出すこともできます。
副業分の住民税は、申告書の第二表で納め方を選ぶ
確定申告書の第二表には「住民税・事業税に関する事項」の欄があり、給与と公的年金以外の所得にかかる住民税を、給与から差し引くか、自分で納めるかを選べます。「自分で納付」を選ぶと、副業の分は納付書や口座振替で自分で払います。何も選ばない場合は給与から差し引く扱いになると、複数の市区町村が案内しています。ソフトで申告書を作っても、この欄は自分で選びます。副業が給与(アルバイトなど)の場合は扱いが違うことがあるので、お住まいの市区町村に確かめてください。
所得20万円以下の年に必要な申告
国税庁の案内では、給与を1か所から受け取り、全部が源泉徴収の対象になっている会社員は、給与と退職金以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。所得は、収入から必要経費を引いた金額です。20万円以下なら所得税の申告は要りませんが、住民税にはこの決まりがなく、所得があれば市区町村への申告が原則として必要です。手続きは、お住まいの市区町村の案内に従います。
この年は、ソフトを契約しなくても困りません。ただ、翌年に20万円を超えそうなら、入金と経費の記録だけは今から付けておくと、申告の年にそのまま使えます。副業の申告のために払ったソフトの利用料は必要経費にできると、freee会計の公式サイトでも案内されています。年払いにした場合の処理など細かい点は、税務署や税理士に確かめてください。
収入がまだ少ないうちは、作成コーナーで1回申告してみて、取引が増えてから有料ソフトを考える順番でも間に合います。仕入れのない仕事は経費の種類が少なく、集計もしやすい部類です。そうした仕事の例として、Webライティングの仕事の中身と単価は、次の記事で説明しています。



