電子書籍の出版サービス比較|1冊売れたときの受け取り額で選ぶ

サービス比較
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原稿が仕上がり、どこから出すかを決めようと各ストアの料率を開くと、Kindleは35%か70%、楽天Koboは45%か70%、BOOK☆WALKERは一律60%。率の決め方がそろっておらず、自分の本ならどこで多く受け取れるのか、見比べただけではつかめません。

比べるのは、AmazonのKindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)、楽天Koboライティングライフ、BOOK☆WALKER 著者センターの3つです。どれも登録と出版に費用がかからず、個人が自分で本を登録して売れます。

一冊の値段を決めたとき、いちばん多く受け取れるのはどのストアか。Kindleで高い率を選ぶ代わりに、何を手放すのか。売上はいつ振り込まれるのか。迷っているのは、つまるところこの三つの問いです。答え合わせには、値段ごとに受け取り額を並べた表を使います。

この比較の前提

  • 各社の公式サイトに書かれている料率と条件をもとに比べています。どのストアで売れやすいかは確かめていないため、書いていません
  • 広告として載せているサービスがあります。順位はつけていません

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1冊売れたときの受け取り額を、価格ごとに比べる

税抜の価格ごとに、各社の料率をかけて、1冊売れたときの受け取り額を出しました。Kindleの70%は、その本をKindleストアだけで売る「KDPセレクト」に登録したときに選べる率です。

本の価格(税抜) Kindle(35%) Kindle(70%・独占) 楽天Kobo BOOK☆WALKER
99円 35円 選べない 45円(45%) 59円
250円 88円 174円 113円(45%) 150円
299円 105円 209円 209円(70%) 179円
500円 175円 349円 350円 300円
980円 343円 685円 686円 588円
1,650円 578円 1,154円 1,155円 990円
1,980円 693円 選べない 1,386円 1,188円

料率は、2026年10月20日に各社の公式サイトで確認。税抜の価格に料率をかけ、1円未満を四捨五入した当ブログの計算です。Kindleの70%は、ファイルが1MBの本として配信コスト1円を引いています。実際に振り込まれる額は、税や源泉徴収の扱いで変わります。

電子書籍の出版サービスで、500円と1,980円の本が1冊売れたときの受け取り額を比べた棒グラフ
500円と1,980円の本が1冊売れたときの受け取り額(税抜の価格で計算)

表を価格の帯ごとに区切ると、受け取り額が多くなるストアは下のように替わります。

  • 249円以下: Kindleは35%しか選べず、楽天Koboは45%です。一律60%のBOOK☆WALKERが、1冊あたりでいちばん多くなります(99円の本で59円)
  • 250円〜298円: KDPセレクトに登録すれば、Kindleの70%がいちばん多くなります。登録しないなら、BOOK☆WALKERの60%が上です。楽天Koboはまだ45%の帯です
  • 299円〜1,650円: Kindleの70%と楽天Koboの70%が並び、差は配信コストの分だけです。この帯のBOOK☆WALKERは、70%の2社より1冊あたり1割ほど少なくなります
  • 1,651円以上: Kindleは35%だけになります。楽天Koboは26,000円まで70%が続くので、1,980円の本では、Kindleの2倍の1,386円です

Kindleと楽天Koboの料率が変わる価格

率が切り替わる価格と、その率を使うための条件を並べます。

サービス 料率 その率になる価格 ほかの条件
Kindle 35% 99円〜20,000円 なし
Kindle 70% 250円〜1,650円 日本の読者への販売では、KDPセレクトへの登録が必要。配信コストが引かれる
楽天Kobo 45% 本体価格80円〜298円 独占を求める決まりは、公式のページに見当たらない
楽天Kobo 70% 本体価格299円〜26,000円 同上
BOOK☆WALKER 60% 付けられる価格の範囲は公式サイトで確認 ほかの電子書店で配信している作品も出せる

著作権が切れた作品(パブリックドメイン)は、Kindleでは35%だけ、楽天Koboでは価格にかかわらず20%です。

Kindleの70%は、税抜の価格から配信コストを引いてから70%をかけます。日本での販売の配信コストは1MBあたり1円(最低1円)で、公式ヘルプには、10MB以上の本からは配信コストを差し引かないとも書かれています。文章が中心の本なら差は数円ですが、写真や図の多い本は、ファイルの大きさも見てから価格を決めます。

楽天Koboは、298円と299円のあいだで率が45%から70%に上がります。298円なら1冊134円、299円なら209円です。300円前後の短い本を出すときは、この1円が効いてきます。


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KDPセレクトで70%を選ぶときの条件

KDPセレクトの登録は、90日を1つの期間にしています。その期間中、本の電子版を売れるのはKDPと公共の図書館だけです。紙の本や音声など、ほかの形の本はほかの場所でも売り続けられ、内容の10%までなら、無料のサンプルとしてほかの場所に出せます。

期間が終わると、登録は自動で更新されます。続けないと決めたら、KDPの「本棚」で本の横の「…」から「KDP セレクトを管理」を開き、自動更新のチェックを外します。外しても、いま進んでいる90日はそのまま続くので、ほかのストアに出すのは、その期間が終わってからです。

登録した本は、読み放題のKindle Unlimitedに入り、読まれたページ数に応じた分配金の対象になります。分配金がどう決まるかは、次の記事で説明しています。

ほかのストアで何冊売れれば、独占にしなくても追いつくか

500円の本が、Kindleで月に10冊売れるとして計算しました。

選び方 Kindleでの受け取り額 ほかに入るもの
KDPセレクトに登録(70%・独占) 349円×10冊=3,490円 読み放題で読まれたページ数に応じた分配金
登録しない(35%) 175円×10冊=1,750円 楽天Kobo・BOOK☆WALKERでの売上

税抜の価格で計算した概算。冊数は計算のために置いた仮の数字です。

Kindleの中だけで比べると、差は月1,740円です。楽天Koboで5冊(1,750円)、BOOK☆WALKERなら6冊(1,800円)売れれば、独占にしない出し方が追いつきます。独占にした側には読み放題の分配金も入るので、読み放題でよく読まれる本ほど、追いつくのに要る冊数は増えます。

3つのストアすべてに出した場合、500円の本がそれぞれで1冊ずつ売れると、合計は825円(175円+350円+300円)です。そのかわり、価格の変更や誤字の直しを、3つの管理画面で1つずつ行うことになります。

例 状況 選び方 1か月の受け取り額
例1 300円の実用書。Kindleで月20冊 KDPセレクトに登録(70%) 209円×20冊=4,180円(読み放題の分配金は別)
例2 500円の本。Kindleで月10冊、楽天Koboで月6冊 Kindle(35%)と楽天Kobo(70%) 1,750円+2,100円=3,850円
例3 1,980円の専門的な本。Kindleで月5冊、楽天Koboで月5冊 Kindle(35%)と楽天Kobo(70%) 3,465円+6,930円=10,395円

税抜の価格で計算した概算。Kindleの70%は、配信コスト1円を引いています。

例2を独占に切り替えると、Kindleの10冊で3,490円になり、楽天Koboの6冊を手放すより360円少なくなります。楽天Koboで売れるのが4冊(1,400円)なら、独占のほうが多くなります。例3は価格が1,650円を超えているので、Kindleで70%を選ぶ道がもともとありません。

どちらになるかは、出してみないと分かりません。最初の90日だけKDPセレクトに登録して、Kindleでの売れ方と読み放題で読まれたページ数を見てから、自動更新を外してほかのストアへ広げる、という進め方もできます。


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ストアごとの振り込みの時期と決まり

売上がいくらたまると、いつ口座に入るかにも違いがあります。

サービス 振り込まれる最低額 時期 補足
Kindle(KDP) 銀行口座への振込(電子資金振替)は0円 売上が報告された月の末日から約60日後 電信送金は1万円、小切手は100米ドルが最低額
楽天Koboライティングライフ 1万円 売上月の月末日から55日後 1万円に届かなくても、年に1回は支払われる。個人には、消費税や源泉徴収を差し引いた額で支払われる
BOOK☆WALKER 著者センター 支払いの保留なし 月末締め・翌々月末払い 振込手数料はBOOK☆WALKERが負担

支払いの条件は、2026年10月20日に各社の公式サイトで確認。

楽天Koboで最初の1万円に届くまでの冊数

本の価格(税抜) 1冊の受け取り額 1万円に届く冊数
250円 113円 89冊
299円 209円 48冊
500円 350円 29冊
980円 686円 15冊

税抜の価格で計算した概算。

楽天Koboで月に3冊ずつ売れる500円の本なら、29冊に届くのは10か月目です。届かない年も年に1回は支払われるので、売上がなくなるわけではありません。少ない額でも毎月受け取りたいなら、最低額のないKindleやBOOK☆WALKERを出し先に入れておくと、入金の間があきにくくなります。

出し先を増やすと、入金の日も金額もストアごとにばらばらに届きます。会社に勤めながらの副業では、1年の所得が20万円を超えた年に確定申告をするので、入金があるたびに、ストアの名前と金額を控えておきます。その控えを帳簿にして申告書まで作れる会計ソフトは、年額を次の記事で比べています。

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3つのストアが受け付ける原稿の形式

出し先を広げるつもりがあるなら、原稿の形式を最初に決めておきます。受け付ける形式は、ストアごとに違います。

サービス 原稿の形式 販売が始まるまで・そのほか
Kindle(KDP) Word(DOC・DOCX)、Kindle Createで作るKPF、EPUB(Kindle パブリッシング・ガイドラインに沿ったもの)など 出版の前に、Kindle Previewerで表示を確かめるよう案内されている
楽天Koboライティングライフ EPUB 72時間以内にストアで販売が始まる。発売前の予約注文も受け付けられる
BOOK☆WALKER 著者センター EPUB3を推奨(画像は縦1600px)。表紙はjpgかpng マンガ、小説、評論、画集などの個人の作品が対象

KindleだけのつもりでWordの原稿のまま出し、あとで楽天KoboやBOOK☆WALKERにも広げようとすると、そこでEPUBを作り直すことになります。最初からEPUBで仕上げておけば、同じファイルを3つに上げられます。KDPに上げたEPUBが崩れていないかは、Kindle Previewerで見てから出します。

Kindleで紙の本と電子書籍を同時に出す手順は、WordとCanvaを使った入門書にもまとめられています。

AIで作った本と表紙の、ストアごとの扱い

AIを使って作った本の扱いは、3つで決まりの書き方が違います。

サービス AIを使った作品の扱い(公式の記載)
Kindle(KDP) AIで作った文章・画像・翻訳は「AI生成」として、出版や再出版のときに知らせる。表紙や本文の画像も対象で、あとで大きく直しても「AI生成」のまま。自分の原稿をAIで直す・誤りを確かめるだけなら「AIアシスト」で、知らせなくてよい
楽天Koboライティングライフ 作者がAIを使うときの決まりは、公式のページで見つけられなかった(公式サイトで確認)
BOOK☆WALKER 著者センター AI作品の審査は3か月以上かかると、2026年5月25日のお知らせで案内している。審査は販売倫理規定に照らして行われる

AIで描いた表紙の本を3つに同時に出す場合、BOOK☆WALKERだけは、販売が始まるのがほかの2つより3か月以上あとになる前提で予定を組みます。KDPの区分は、ほかの2つのストアにそのまま当てはまるとは限りません。楽天KoboとBOOK☆WALKERに出す前に、それぞれの規約と規定を読んでおきます。


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受け取り額の計算と、AIの使い方の仕分けは、AIに下書きさせる

価格の案を何通りも試す計算と、原稿づくりでAIをどう使ったかの振り返りは、ChatGPTのような対話型のAIに手伝わせやすい作業です。

上の受け取り額の表を、自分の本の価格とファイルの大きさで作り直したいときは、表計算ソフトの式をAIに書かせます。金額をAIに計算させるのではなく、式を作らせて、計算は表計算ソフトにさせます。

指示文の例(受け取り額の計算表の式を作る)

電子書籍の受け取り額を比べる表を、〔Googleスプレッドシート〕で作ります。A列に税抜の価格、B列にファイルの大きさ(MB)を入れると、C列からF列に下の金額が出る式を書いてください。1円未満は四捨五入してください。

C列:Kindleの35%=価格×0.35
D列:Kindleの70%=(価格−配信コスト)×0.7。配信コストは1MBあたり1円・最低1円で、10MB以上は0円。価格が250円未満か1,650円を超えるときは「選べない」と出す
E列:楽天Kobo=価格が80〜298円なら45%、299〜26,000円なら70%
F列:BOOK☆WALKER=価格×0.6

式のあとに、確かめ用として、A列に〔500〕、B列に〔1〕を入れたときに各列に出る値も書いてください。

確かめ用の値が、この記事の表の500円の行(175円・349円・350円・300円)と合っていれば、式はそのまま使えます。料率や境目の価格は各社が見直すことがあるので、式に入れる数字は、表を作る日に公式ヘルプで確かめ直します。

もう1つは、KDPに出す前の申告の準備です。原稿づくりでAIを使った作業を並べて、KDPのガイドラインの文に照らして仕分けさせます。

指示文の例(AIを使った作業を、KDPの区分に照らして仕分ける)

電子書籍の準備でAIを使った作業を、下に並べます。あとに貼るKDPのコンテンツガイドラインの文に照らして、それぞれが「AI生成」と「AIアシスト」のどちらに当たりそうかを表にしてください。列は「作業」「当たりそうな区分」「根拠にしたガイドラインの文」の3つにし、ガイドラインの文だけでは決められないものは「判断できない」と書いてください。

作業:〔表紙のイラストを画像生成AIで描いた/自分で書いた原稿の言い回しをAIに整えさせた/「はじめに」の下書きをAIに書かせ、自分で半分ほど書き直した〕

ガイドライン:〔KDPヘルプ「コンテンツ ガイドライン」のAIの項の文章を貼る〕

この表は、申告を決めるための下書きとして使います。「判断できない」の行と、「AI生成」に当たりそうな行は、ガイドラインの原文を読み直したうえで自分で決め、出版の手続きで答えます。

一方で、本の価格と、KDPセレクトに登録するかどうかは、計算の表と自分の販売レポートを見て自分で決めます。銀行口座、税の情報、本名などは、AIに貼らずに各社の画面で自分で入れます。

Kindleから出すなら、最初の90日の使い方を決めてから登録する

出し先に迷ったら、価格の帯と、最初の90日をどう使うかから決めると選びやすくなります。250円〜1,650円の本でKindleの読者を中心に考えるならKDPセレクトに登録して70%、1,650円を超える本や298円以下の本を独占にせずに出すなら、楽天KoboとBOOK☆WALKERも候補に入れます。マンガや画集は、BOOK☆WALKER 著者センターが対象としてはっきり挙げています。

KDPでアカウントを作ってから、原稿と表紙を上げて出版するまでの押し方は、次の記事で順に書いています。

出したあとは、90日の区切りが来る前に販売レポートを開き、KDPセレクトを更新するか、自動更新を外して楽天KoboやBOOK☆WALKERにも広げるかを決めます。出し先を増やしたら、価格を変えるときに3つの管理画面をそろえて直すことも、忘れないようにしておきます。


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